脱獄開始 その25
脱獄開始 その25
迷宮の最奥、そこに現れたのは見たことも無い禍々しい塔型の怪物。
混沌の使徒が行ったであろうそれにより、俺たちは更なる行動を要求される。
星敵たちは一先ず、塔から生み出される異形の化け物たちを掃討し出す。
倒しても倒してもすぐに補給されるが、それを上回る速度で倒し続けていた。
結果、星敵たちが代わる代わる当番制で出てきた怪物を倒す流れに。
その間、俺は『修羅』と共に状況の考察を行っていた。
「迷宮の核も見当たりませんね……これは間違いなく、取り込まれていますか」
「つまり、アレを破壊しようとすれば……」
「威力を間違えれば核諸共。迷宮は崩壊し、私たちも悲惨な目に……そもそも、この監獄自体どうなることやら」
迷宮核そのものの自衛機能として、それなりに堅固な結界を構築することができる。
それを利用して、塔自体にも結界を纏わせるだろうが……星敵には無意味に等しい。
問題はそれにより、核が破壊され迷宮が崩壊してしまう可能性。
この状況で、きちんとした脱出ができるか微妙だしな。
「ですが、何もしないというのであれば結局あの塔が存在する意義を果たしてしまうということ。無尽蔵に生み出すのではなく、あくまで数体……余っているエネルギーは、いったいどのようにして使われているのやら」
「何か策はあるか?」
「単純に入ってしまえば、ある程度は。ですがあの中は完全に向こうのテリトリー、たとえ星敵であっても思うが儘とはいかないはずですよ」
まあ、普段の俺なら『プログレス』を組み合わせて颯爽と向かったかもしれない。
対処可能な『プログレス』も心当たりがあるし、死んでも困らないから。
しかし、今回の状況は違う。
いつもの自然な流れで死ぬならともかく、意図的な死は可能な限り避けたい──塔の中では特に。
「なので、こうしましょう」
「──それは、いったい?」
俺が取り出した物を見て、少々呆れたように尋ねてくる『修羅』。
さすがは元アトランティス世界出身、見ただけですぐに分かってくれるか。
「要はほどほどの出力に抑えればいいわけですし……ええ、その調整をしたうえで攻撃していきましょうか」
◆ □ ◆ □ ◆
やりたい放題、もとい砲台。
俺が設置した無数の砲台に対し、星敵たちは好き勝手に攻撃を行っていく。
無論、威力の方は少し加減してもらっているのだが、彼らにとっての加減が常人にとっての致死量のを軽く超えるのは言うまでもないわけで。
その砲台の特殊な機構は、受けたダメージが砲弾になるというもの。
魔法を弾丸にする魔弾術式、既存の術式にある『プログレス』を重ねて造っている。
限界はある、なのでそれを利用して火力の調整を行っている。
そしてそれは上手くいっており──塔にのみダメージを与えていくのだった。