脱獄実行 その17
脱獄実行 その17
邪悪深殿 五十一層
裏技的仕掛けで五十層最奥に仕込んだ安全空間に飛んだ俺は、そこで準備を整えた後、再び迷宮脱出へ向けた行動を開始した。
まず向かったのは五十一層、ここから先に転移で飛ぶことはできない。
それでも強者を四人無視することができたので、良しとしよう。
「──同期完了。よし、行くとしますか」
準備を行った結果、俺はエクリに搭乗することを選んだ。
単純に身体スペックが優れており、術式やら特殊能力なんかも満載だからな。
ただし、これまでと違って『生者』の権能はエクリに搭乗中使えなくなっている。
これは権能がアイテムとして切り離され、かつ俺自身の心臓に融合しているからだ。
そのためエクリには、損壊の可能性が……なんてことは無い、というかしてたまるか。
耐久度が危険域に達した場合、自動的に回収される機能を予め組み込んでおいた。
完全に壊れない限り、 遺製具 レリック は基本的に失われても獲得者の元に万全な形で戻る。
そして、その仕組みは素材として加工した場合にも、腕が足りていれば残されるのだ。
…………まあ、世の中には例外という存在がいくらでもいるので楽観視はできないが。
特にこの場においては、そんな連中が挙って集められているわけだし。
「『インストール:ダンジョンアタッカー』“ダンジョンガイド”」
そんな俺がまず行うのは、情報が不足しているこの迷宮を知ること。
起動したのは迷宮狂いの『プログレス』、そして情報を得るための能力。
俺が今まで得た迷宮に関する情報、そして視界内で捉えた情報から[マップ]を自動的に更新してくれる。
ドローンもすでに展開中なので、よりその精度は向上していた。
すぐに次の階層へ向かうための転送陣を発見し、再度移動を行う。
「“神持祈祷:ストレード”」
靴型の『プログレス』が着装されると、それと同時に俺は真っ直ぐに走り出す。
この『プログレス』は一直線に走る際にのみ、物凄い悪路走行に対する補正が入る。
まあ要するに、パルクール染みたことを容易で行えるようになるのだ。
術式などで転移や飛行をせず、移動するのには理由があるのだが……今は割愛しよう。
「よっ、ほっ──そいやっ」
最後の掛け声の辺りで、出現した魔物に攻撃を行っている。
エクリの体なので、その身から無限に溢れる闇を詠唱せずとも自在に操れた。
ただし、そこまで火力が出ておらず視界を一時的に奪う程度。
だが走り抜けている俺にはそれで充分、ついでに魔物を踏みつけ跳躍する。
「さぁ、どんどん行くぞ!」
エクリに仕込んだ擬似スキルの恩恵もあって、体はスムーズに動く。
あっという間に転送陣へ辿り着き、これら一連の流れをしばらく繰り返していった。