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脱獄実行 その18

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脱獄実行 その18

邪悪深殿 六十層

少々ズルくはあるが、『マイルーム』を基にした秘匿空間を経由することで一気に五十一層から再開した監獄脱獄。

原付をかっ飛ばして、辿り着いた六十層。

本来であれば魔物の守護者が探索者もとい脱獄者たちの前に立ちはだかる……が、今だけは違う。

十層ごとの階層で待ち受けるのは、各星々から選出された強者たち。

星より権能を授かった彼らを相手取り、百層の上から脱出する必要があった。

「──初めて見る顔、ですね」

「うむ、我は『武尽』。武闘世界『極逸』が一人、【武芸王】でもある。『生者』……否新たな星敵よ、汝を通すわけにはいかぬ」

それはさながら、牛若丸に立ちはだかった武蔵坊弁慶のような姿だった。

服装云々ではない、背中に背負った籠と大量の武器がそれを彷彿とさせる。

「それは……もしや、 遺製具 レリック ですか?」

「ほう、なぜそう思う」

「そう問うている時点で答えている気はしますが……わざわざ籠を背負うことで得られるメリット、それがアイテムボックスに勝る物がそれしか思いつきませんでしたので」

一部の職業能力の中には、登録した武具を瞬間的に出したり切り替えたりできるというものが存在する。

だが原人の場合、何らかの形で武具を所持していなければならない。

大半はアイテムボックス、空間属性の魔道具を持ち歩くし今は『プログレス』もある。

それをしていない、そんな理由で充分なぐらいの常識のはず……なのに。

あえて籠を背負い、武具を入れるのだからそう考えてもいいだろう。

「がっはっは! そうとも、これこそは我が手に入れた遺製具! 見ての通り、武具であればいくらでも入れられるぞ!」

「……それを教えるのは、教えても困らないからでしょうか?」

「うむ! これに入れた武具は、我以外では取ることはできぬ! つまり、晒そうと問題はない!」

見せることで情報開示分のリソースを確保し、籠という本来取り出しに手間が掛かるアイテムとすることで窃盗不可という便利過ぎる能力を搭載……といったところか。

《旦那様、職業の情報が判明しました》

(ああ、聞かせてくれ)

《【武芸王】は武技特化職、武技の発動時間短縮と武具交換に重きを置いております。ほぼ無制限で武具の交換は可能で、そちらにアジャストした仕様と思われます》

俺の予想を裏付けるように、【武芸王】の情報をもたらしてくれる『SEBAS』。

切り替えをほぼ自在に行えるのならば、手間など気にする必要も無いだろう。

たしかに装備枠を一つ消費しなければいけないだろうが、遺製具はそのほとんどが壊れないし壊れてもしばらくすれば直る……不壊の鎧(背中限定)と化すわけだ

それに加え、まだ未知な権能も存在する。

そして何より──チュインチュインと鳴っている機械仕掛けの駆動音、機人族の武人という点が厄介さを醸し出していた。