脱獄実行 その24
脱獄実行 その24
邪悪深殿 六十一層
お菓子を用いた『プログレス:スウィープスイーツ』によって、『武尽』を強制的に排除した俺。
無事、転送陣が解放されたため決着をつける前にそそくさと次の階層へ向かった、
「っと、急がないとな」
いつ『武尽』が戻ってくるか分からない現状、大慌てで先へ向かう必要がある。
原付を[インベントリ]から取り出し、アクセル全開で迷宮内を駆け抜けていく。
「『SEBAS』、迷宮内の転移は今どういう仕様になっている?」
《旦那様の五十一層への転移が想定外だったのか、再度念入りに規制が入っております。転送陣を用いた上下層への移動を除き、星々の手が回っているかと》
「一度やったから、裏技は対策されたってことだな。『武尽』が七十層で先回りして待っているってことは無いのか?」
《確証はできませんが。こちらも手は回しておりますので、十層ごとの守護者付きの階層はこれまで通りのままのはずです》
もともと転移はできていなかったが、あからさまな強者たちの配置にその辺は星々で何か仕込んでいたことは確定していた。
だが俺のバックドア的転移によって、星々が警戒を強めている。
それにより、これまでに突破した階層の連中が 一気に飛ぶ てんいする ことはできなくなっていた。
「そうなると、どんどんやっぱりどれだけ時間を確保できるかだな」
《足止めとして、ドローンや人形を配置しますか?》
「うーん、そうしたいのは山々だが……嫌な予感がするんだよな。奪われるとかそういうのも含めて。エクリぐらいのスペックならともかく、たぶん自立型でも」
《なるほど……》
これと言って、根拠は無い……のだが、これまでの経験上そういう事態も思いつく。
知っている人で言えば『機械皇』、あの人なら普通に奪いかねん。
「そういえば、二十層から五十層にはいったい誰が配置されていたんだ?」
《……情報の方が確認できません。旦那様が先んじて対策を取ることを防ぐためと思われます。これから先の守護者役に、尋ねてみてはいかがでしょうか?》
「そうなるか。途中はともかく、百層に関しては誰が居るか大方察しが付くし」
──そこには確実に、『騎士王』が居る。
これに関しても、特段根拠は無いが間違いないという自信がなぜかあった。
外れていた方が嬉しいのだが、どうせ正解しているに違いない。
「まあ、遠い地獄より今の地獄だ。七十層とさらにその先を突破してから、改めて考え直すしかないか」
本気の『騎士王』を相手取ることも悩まなければならないが、悩みを片手間に突破できるほど逸脱した連中も容易くは無い……間もなく七十層、誰が待っているのやら。