脱獄実行 その26
脱獄実行 その26
七十層に広がっていたのは、どこまでも広がる大樹海。
だがそれはただ一本の樹、 災凶種 ディザスターシリーズ の樹から広がる代物だった。
「さて、検証をしていきますか」
向こうから攻撃してくるわけでもなく、ただそびえ立つだけ。
だがその目的が時間稼ぎというなら、面倒くさいことこの上なかった。
俺は使っていないが、反撃系の能力は当然されなければ効果を発揮しない。
それ以外にも、相手が行動を示すからこそ効果を使うことができる能力は存在する。
その点、不動の植物系魔物だと発動するのは基本的に光合成やら地脈系の再生のみ。
隙だらけだからこそ、隙が無く感じてしまう創作物のアレだ。
「とりあえずは属性攻撃、あと各種状態異常がどれくらい効くかだな……まあ、災凶種という一点だけでロクな性質じゃないのは想定しているんだけど」
《! これは……》
「…………嫌なフラグが立った気がするんだが、いったい何があった?」
検証はドローンから攻撃を行い、その結果から推定される。
当然、『SEBAS』が詳細に調べてくれている以上、そこに間違いはない。
間違いはないのだが……時には間違っていてほしいこともある。
驚愕する『SEBAS』というのは、とんでもない事態が起きたときだ。
《各種攻撃を受けたことで、耐性値が向上しています。それも、スキルレベルで言うところの最大値付近まで》
「うーん、チートかな?」
《ある種、そういった類の存在ですので。物理系の属性も現象系の属性も関係なく、あらゆる耐性を得ているようです》
「面倒だな、こいつが最終層の番人と言われても納得いきそうな性能だ」
要するに、こいつは何をしても一発しか正常にダメージが通じない。
そのうえで、以降は半端ない耐性値による減衰を受けなければならなくなる。
しかも素のスペックの高さ、また災凶種級の再生速度が搭載されて。
どれだけ当たってもすぐに回復する……倒し切れないとか、どこの黒の剣士かな?
「これ、検証するの不味かったか?」
《いえ、これが分かったのは大きいです。どれほど時間が経てば耐性が解除されるのか、またどの攻撃が一番通じていたのかなどは先に確認しておくべきでしょう》
「なるほどな……まあ、向こうも時間稼ぎがメインだろうから仕方がない。ただこれ、他の守護者が乱入してきたりしないか?」
《おそらくございません。彼らの力を利用され、旦那様が脱出を図ることが懸念されているでしょう。それならばあえて何もせず、次やその次に配置する方が得策です》
俺にとっては得策ではないが、少なくともこの場に邪魔は来ないわけだ。
…………それなら、試せることもいくつかあるかな?