脱獄遂行 その23
脱獄遂行 その23
星剣を使う『騎士王』に対し、こちらが出たのはマスター系『プログレス』の行使。
模倣の【魔王】の力、そして発現者から得た体細胞によってそれは成し得られた。
「──『イモータルマスター』!」
現状を説明しよう。
俺の体はエクリのもので、【魔王】の体と同一になったうえで、『騎士王』の姿を 写し ・・ 奪って ・・・ いた……ややこしいな。
そのうえで、右腕だけを【魔王】本来のモノに切り替え、『プログレス』を使った。
それは『コピーマスター』、【魔王】が得た世にも珍しい『○○マスター』系能力。
──とここまでの前提を満たしたうえで、ようやく発動できたのが、先ほど宣言を行った『イモータルマスター』である。
情報の秘匿のため、『コピーマスター』の方は無言で処理を済ませた。
だが異様さはすぐに分かるため、囮という意味でもこちらは宣言している。
「さぁ、始めるとしましょう」
「……マスターを冠する『プログレス』、この目でソレを見るのは初めてだな。だが、それであれば我の体は不要なのでは?」
「万能の才覚が必要なのですよ。私では、肉体のスペックが遥かに劣りますので」
俺もエクリも、パクるための下地はあるのだがその点で失敗に終わっていた。
だからこそ今回は、万全を期した状態で発動している。
「イモータル、死なぬ権能か。『生者』に相応しい権能ではないか」
「そうかもしれませんね。ですが、似て非なるものですのでご安心を」
俺が今までにお世話になり、これからも同じことができる『(超越)生者』の権能。
そちらは死なない権能ではなく、死んでもすぐに再起できるだけの休人限定権能だ。
だが、『イモータルマスター』は違う。
本当の意味で死を拒み、生と死の理すらも逸脱した権能──まさに星敵である彼女に相応しい、世界を傾けられる力である。
「まずはここに死骸を並べます、迷宮移動時に適当に掻き集めてきました」
「…………」
「本来であれば、権能のおまけとして死骸がそのまま残る仕組みがあるようですが……私のモノではございませんので、少々強引なやり方となってしまいましたが」
原付を走らせ最短で進んでいたが、魔物たちが俺の道を阻むことがあった。
そういった際、『SEBAS』が殲滅してくれるのだが……ここでやっている。
かつて行われた『迷宮イベント』、そこで獲得した[称号]『無間地獄の体現者』。
相手を殺し切っても、一時的に肉体を残しておくことができる。
それを使い、経験値に還元される前に回収して『プログレス:インプット』を仕込んだ魔道具の中に仕舞っていた。
集めていた死骸も、この場に出してしばらくすれば経験値に還元されるだろう。
だが、それを防ぐための力を今の俺は持っている──彼らに手を翳す、それだけだ。
「──“アンチデッド”」