脱獄遂行 その24
脱獄遂行 その24
「──“アンチデッド”」
迷宮を移動中に集めてきた、大量の死骸をこの場でぶちまける。
そのうえで、マスター系能力『イモータルマスター』の御業を発揮した。
「ふむ……蘇ったか。蘇生とは違う、少々禁忌に近しい気配であったな」
「集団戦に効果はありませんが、こちらの手の内を開示するにはちょうど良いと思いましてね……さぁ、行きなさい」
普通の蘇生、というのもおかしいがそちらは肉体から剥がれた魂を元に戻すもの。
だが、『イモータルマスター』はいろいろとおかしい──魂を不要とした蘇生なのだ。
「理が狂っているな…………その持ち主、どこの誰だ?」
「星敵の一人ですよ」
「…………矛盾しているな。だが、それを可能としているからこそ貴公もこの場に居る。やはり、隠し事が多いな」
「…………」
星敵、それは権能の持ち主。
だと言うのに、同じく権能として枠を使う『プログレス』を星敵が持っている……そこから『騎士王』は何かを感じたらしい。
なお、それを思案する間も蘇った魔物たちと戦いを繰り広げている。
否、戦いなど生温い一方的な蹂躙──ただ星剣を振るい、無傷で魔物たちを切り刻む。
「今はまだ良いだろう。さて、この程度がマスターの力なのか?」
思案と共に動きを止めた『騎士王』、だがその隙を襲う魔物は居ない。
理由は簡単、すでにそれを行うモノが一匹も居ないからだ。
この迷宮に現れる魔物は、カンストレベルのヤバい個体ばかりだが……『騎士王』という埒外の存在にとって、彼らは雑魚扱いにしかならない。
だがそれも想定の範疇。
そもそも数の力で勝てるならば、俺だって最初からそれをやっている──お楽しみはこれからだ。
「いいえ、ではお見せしましょう。これこそが、『イモータルマスター』の真の力!」
「……蘇生はできぬよう、星力を注いでおいたはずなのだがな」
「先ほどご自身で述べたように、蘇生ではございませんので。死の否定、理を覆す異端の権能ですよ」
「なるほど、『生者』が増えるのか」
失礼なことを言っているが、傍から見れば同じようなものだ。
だが実際、仕組みは似ている……のかもしれない。
どちらも魂を必要とせず、なんやかんや第三者視点では同じ存在がその場に現れる。
俺の場合はアバターゆえに、『イモータルマスター』は…………謎の力ゆえに。
何らかの法則性はあるだろうが、少なくとも今の俺には分からない。
無限にゾンビアタックができる能力、その程度の認識でしかなかった。
──そう、真の力! とか言っていても分からないことだらけである。