脱獄完了 その06
脱獄完了 その06
自らが脱獄した後、中に潜んでいた者を空間の接続で連れ出した。
もう同じ方法は取れない、だが今回限りで充分である。
「……ここが」
「ああ、あの時に話した俺と『騎士王』が暴れた場所。滅亡世界、そう呼ばれる世界だ」
「…………」
少女はこの世界の意思そのもの、だからこそ分かることがあるのだろう。
ただジッと、立ち尽くすように辺りを眺めて──目から涙が零れ落ちる。
「大丈夫か?」
「はい、大丈夫です……いえ、大丈夫ではありませんでした」
「何か分かったのか?」
「いいえ、分かりませんでした。今のわたしにはそれを知る権限は無く、最後に覚えているのは──ただ黒いナニカが、世界中を覆っていったことだけ」
その黒いナニカ、というのが寄生生命体であるバシビウスと彼らが住む霧なのだろう。
世界中が霧に覆われた結果、生きとし生きるものすべてが感染した。
だが、気になるのはその果てにこの光景が生まれたこと。
ただ彼らがのさばった、それを理由として説明し切るのは難しい。
「それで、これからどうするんだ? 俺の目的はお前さんをここに連れ出すこと、それ以上は正直考えていなかったぞ。けどまあ、救うと約束したからな。何を以って救いなのかどうか、意見が欲しい」
「……本当は迷宮で、せめて殺されて役に立とうと思っていました。ですが、【救星者】様はわたしを、ここまで連れてきてくれました。わたしは、もっとわがままになってもいいのでしょうか?」
「お前さんの年齢はともかく、見た目は子供だしな。子供らしく、わがままを言ってみればいい。ダメなら窘めるし、問題ないなら手伝ってやる。大人に任せとけ」
少女が少女として現れたのに、意味があるとすればそれだろう。
星の寿命は分からんが、精神の在り方がこの姿に適していたのではないだろうか。
まだ幼い星だったからこそ、そんな考え方もある。
正しいか間違っているかはともかく、少しぐらい頼る相手が居た方がいいだろう。
「…………この星に、何があったのか。わたしはそれを知りたいです」
「ああ」
「お礼なら、わたしにできること何でもやります。それだけのことをしてもらいました、それだけのことをしてもらいます。この星を助けてください、お願いします」
「──任せとけ」
ピコーン、と通知される情報。
イベントの時かかなり特殊な事態にでもならないと通知されない設定にしたのだが、それでもソレは示された。
≪ワールドクエスト『原因究明:世界を吞んだ悪霧の果て』を受注しました≫
ワールドクエスト、各星々の秘密に迫る極めて希少で難易度の高い依頼。
それを星直々に出された、つまりそれだけの価値があるということだ。
「一つ、いいか?」
「はい?」
「──人手、増やしてもいいか?」
まあでも、俺だけでやったらどれだけ時間が掛かるか分からないので、暇人を募集しようと思います!