異なる法則
異なる法則
アイスプル 迷宮『禁機の工廟』
脱獄から発生した諸々の悩みを、脱獄最後の敵として立ちはだかった『騎士王』に相談してみた……俺もアイツも、その程度で関係が崩れるとは思っていないわけだ。
「むむ……良かった、管理状況に不具合は出ていなかったか。うん、視ても問題があるとは言ってないぞ」
《万全の整備は行っておりますが、やはり旦那様の:DIY:で識別するのがもっとも確実です》
「今回は俺が使ったのが悪いし、そもそもこういうのを見るのも悪くは無いからな」
現在、俺は『SEBAS』と共にある施設に居た──並べられるのは、大量の兵器群。
特に俺が見ている場所には、中心に丸、扇三つがその周りに配置される ような かんきせん 印 マーク が。
黄色と黒で示すのは、注意の喚起。
そのエリアすべてのアイテムに、マークが示すもの──核に関するナニカが入っている危険な区域だ。
魔力技術で強化された、特殊なガラス越しにソレを眺めている。
──ウィンドウ画面に表示される、核兵器の詳細な情報を。
「『SEBAS』、『核爆槍』の製造はどうなっている?」
《『模造工場』をフル稼働し、現在複製しておりますが……やはり核燃料の方が不足しつつあります》
「ああ、それは複製できないからな……あとで作っておくよ」
EHOにおいて、原子やら物理法則なんかは地球とまったく同一……ではない。
そりゃあ魔力云々があるし、素粒子レベルで細かいソレがいろんなものに付いている。
お陰で休人たちの常識が通用せず、精々が部分的に21世紀の技術水準となっていた。
例外はすでにこちらの世界でより発達していた機械技術──『機械皇』の技術などだ。
そうした原人によるブレイクスルー、また課金アイテムという更なる一部例外でしか休人たちが望んだ通りの結果は出せていない。
まあ、個人でなら『プログレス』の能力次第でどうにか成立させたり、固有スキルなんかで…………そう、:DIY:もまたそうした固有スキルの上位互換だ。
唯一無二、創造神様の御業のごく一部。
無い物は作れる、無い事象を造り出し、地球の理と同一のモノを創り出す。
それで創り出した化学兵器、魔力の影響を排除し──そのうえで魔力のある環境でも地球と同一の物理法則に基づき、ほぼ同一の結果が生じるチートアイテムなのだ。
「他のアイテムは…………よし、大丈夫みたいだな。まあ、取り出した余波が無いかと心配していたんだが、そっちは大丈夫か」
《空間転送技術は、まだ改善の余地がございますので。今は『プログレス』が用いる空間干渉も参考にして発展を重ねております、より旦那様の理想となる形に作り上げていきましょう》
「……ロマンだからな」
空間の穴から無数の武器を呼び出したり、伸ばした腕の先に武器が現れたり。
創作物の演出としてよくある謎技術の産物も、この世界ならできる。
そういうロマンを突き詰めた果てに、技術とは更なる進歩を遂げていくのだ。