心の歯車
心の歯車
アイスプル 地上
経験値の謎について、『SEBAS』と少しだけ語り合ってみた。
結果、暇を持て余すことなく【人形師】系統の職業の常駐化を終えることに成功する。
あの後、更に強化を行い最大解放まで済ませたところでレベリングは一時中断。
小休憩を図るため、外に出てまったりとすることに……迷宮内でも陽は昇るけど。
糸の射程拡張、人形の操作補正、効果発動対象の解釈拡張などなど……いろいろと便利なものはあるのだが、残念なことに獲得経験値効率の向上は存在していない。
それがあるなら、俺だって常駐化よりも先にそちらを解放している。
何でもかんでも強化されるわけではない、という何かしらの制約があるのだろう。
「さて、と。今は人形の修繕をして次に備えておかないとな」
休みというのは俺だけでなく、耐久度を減らした人形たちのためでもあった。
今回、:DIY:は使用せず【生産勇者】と『巧天』で人形たちに手を加えている。
また、職業スキルも【整備士】と【高位整備士】に付け替えての実行だ。
これらの職業能力は本来機械専用だが、元よりソレは彼らに付いている。
「──『プログレス:ハートギア』、これだけは代用できないからな」
《『プログレス』自体は模倣したものをインストールした人形がございますので、問題なく使用可能ですが……》
「そうだな、今まで一件しか確認されていない『プログレス』の能力発現者が死んだってパターンを、俺たちは知らない。『機械皇』とは密にやり取りを続けないとな」
人形たちが職業に就けているのは、歯車型の『プログレス:ハートギア』のお陰。
その本来の発現者は、『機械皇』が造り上げた未完成の機械人形──命を宿す人形だ。
その子以外に『ハートギア』の発現者は居らず、もしその子が死を迎えた場合にどんな影響があるのかを俺たちは知らない──最悪の場合、かなりの痛手になるんだよな。
少なくとも、インストールや“神持祈祷”で使用した『プログレス』は、休人である俺だと[ログアウト]したときに解除される。
人形たちにインストールさせたものなら、再度インストールを行わない限り、能力の効果は残り続ける──が、無限に稼働可能かが不明なのは変わらない。
「成長はしてないんだよな……その辺、どうなっているんだ?」
《『機械皇』は魔石を与えていますが、やはり初期でそれだけのことが可能な『プログレス』ですので、かなりの大器晩成型となっていると思われます》
「強い想いはすでに満たしている、それを次に進めるためのエネルギーが全然足りないってことだな」
あるいは、次に向かうためのトリガーが別のモノになっているのか。
……そちらは『機械皇』とあの子の物語なので、俺たちは見守るだけにしよう。