第二の箱庭 その08
第二の箱庭 その08
この箱庭を統べているであろう守護者。
表面上偉そうにしている人族だけでなく、真に警戒すべきはそちらだ……今はどうやら様子見のようだが。
「──何も、されないな」
《すでにこの場で行える解析は、限界を向かえてしまいました》
「バレない範囲で、だとな……うん、こっちに来てまだちょっとしか経ってないのにいきなり犯罪者扱いはちょっとな」
《──『魔動機盤』、この世界独自に派生した技術の根幹ですね。魔道具と似た構造ですが、これは……》
俺が見ても分からない情報。
入ってすぐに触れさせられた装置など、この世界で使われている『魔道機盤』。
言われてもまったく分からない詳細だが、何やら気になる部分がある様子。
どうやら可視化して、説明を行ってくれているようだが…………うん、分からん。
「まあうん、アレだな……見てすぐに分からないのは逆におかしいか」
《はい。旦那様の:DIY:、創造神様の御業が対応しないということはつまり、それが生産技術のみで完結しないということになりますので》
「……パシフィス世界の復興の時は、一部住民たちが手作りだった部分なんかは不明だったんだよな。生産技術、個人の技なんかでどうにかしている部分は分からない仕組みになるみたいだけど……それは関係あるか?」
幻想の世界、『否定』された概念が息づく滅亡した大陸の名を冠するパシフィス世界。
そこの住民は個性豊かで、それこそ子供が観るアニメのような世界観の見た目だった、
そんな彼らの中でも、特殊な力を持つ者たちが行っていたのが、技術を有さない力による生産のごり押し──イメージ的には、雪の女王が思いの儘に生み出していた感じだな。
そうした能力による強引な設計の場合、どうやら:DIY:は機能しないのだ。
あくまでも技術の産物、設計図があってそれを基にした物にのみ機能するらしい。
「設計図が存在しない、とかそういうことではないだろうが……設計に必要な要素のどこかで、個人の素質に依存したナニカが介入している。そうなれば、:DIY:でも構造が分からない仕様になるよな」
まったく分からない物もあれば、その一部分のみが分からない物などもある。
今回の場合、本当に重要だと思われる核的部分の情報が塗り潰されている感じだ。
いわゆるブラックボックス、どれだけそれ以外の部分を再現しても、核をどうにかしない限り決して『魔道機盤』足り得ない、というところか。
「──っと、状況が変化したかな?」
《武装した者たちが、旦那様の部屋の周囲に集まりつつあります》
「まあ、それでも最初は穏便に……はーい、今出ますよー」
扉越しに鳴らされるアラーム音。
たとえその先でどれだけ警戒をされていようと、とりあえずは丁寧な対応を心掛け──おや、それはどうやら難しそうだな。