第二の箱庭 その13
第二の箱庭 その13
職業能力と『プログレス』の組み合わせ。
最弱な俺に与えられた特権を使い、警備用の『魔動機盤』付き機械を回収することに成功した。
本来少ない代わりに盗品も入れることができる職業能力、そして盗みへの羨望からその強化を図るようになった『プログレス』。
少々後ろめたい力でも、結局使いよう。
上手く使いこなせているとは言えないが、器用貧乏に振る舞えているとは思った。
《──旦那様、複製が終了しました》
「よし、それじゃあズラかるとしますか」
時間稼ぎの目的は、『SEBAS』が実行していたこの施設の情報のコピー。
一先ず全部写し取って、詳細は後でじっくり調べる予定だ。
「機械はまあ、お土産ということで。ありがたく、もらっていきまーす」
接続端子を片付け、この場を後にする。
回収した機械は重要なサンプルとして、俺の物になったのだ……しばらくしたら、所有権が俺に移せるようになるからな。
窃盗したアイテムは、奪ってすぐには自分の物にはならない。
道具として利用するだけなら可能だが、システム的な面で触れられないのだ。
だがその代わり、時間さえ経てばそれをどうにかできるのが窃盗系の能力。
完全な上書きはできずとも、一時的に自分の物として扱うことはできる。
「もっと上位の職業なら、その辺もすぐにできるだろうけど……見習い込みの下級程度には、これが精一杯か」
《旦那様の場合はそれでも、“職業強化”の効果がございますので充分かと。上級職でも適わない、必要時間の短縮などができているわけですし》
「……まあ、それもそうだな。普通に盗むにしても、魔力と器用さだけはあるからな。ある意味、向いていたのかもな」
見習い、下級職の職業能力は【救星者】の“職業強化”によって強化済み。
結果、【整備士】の“ 修復 リペア ”同様に、能力群一つひとつが通常より高性能となった。
モノによっては微々たる変化にしかならないが、それも組み合わせれば別物になる。
……戦闘面に関しては、どれだけ強化しても素が弱過ぎて話にならないけどな。
◆ □ ◆ □ ◆
箱庭02 中央区
「…………都会だ」
俺の脱走を阻止するべく、シャッター的な物が降ろされた施設の外側。
持ち前の器用さで脱出した俺は、ようやく箱庭の景色を見ることに成功する。
そこはまさに近未来、魔力と機械技術の発展により進んだ人族の技術の産物。
才能に関わらず、誰でも使えるであろう道具──『魔動機盤』で溢れた世界。
創作物でよくある、空飛ぶ乗り物。
その頭部ではクルクルと赤い光が回っており──前面に取り付けられたライトが、真っ直ぐに俺を照らしていた。
『容疑者に告げる! お前はもう完全に包囲されている! 繰り返す、完全に包囲されている! 大人しく武器を捨て、両手を上げて拘束を受け入れろ!』
…………拝啓、家族の皆様。
お父さん、いきなりお巡りさんに捕まりそうです。