第二の箱庭 その15
第二の箱庭 その15
お巡りさん(仮)に対抗するべく、こちらが用意したのは狼の群れ。
遺製具 レリック を介して使うソレは、経験値というリソース以外にいっさいの負担を掛けない。
まあ、普通の人々ならそれこそが最大のリスクだと語るかもしれないが。
……レベルが高くとも意味が無い、虚弱な俺だからこそデメリット足り得ない。
「──『インストール:ブルームセンス』」
開花する色とりどりの花々、その影響は狼たちにも──彼らの体の一部に花が咲く。
緑の花が咲いた個体はより速く、黄色の花が咲いた個体はより堅く──力が目覚める。
『な、なんだ……!?』『分からない、だが奴もまた休人だと聞く』『全員、これを暫定『プログレス』と想定! 理屈は鑑識に任せて我々は対処に専念しろ!』
傍聴する彼らも戸惑いつつも、これまでの休人との経験で対処を選択したようだ。
……こっちでお世話になったヤツが、何人か居るというわけか。
「基本は青と緑ですかね……こういう簡易的な個体は潜在能力的な面で劣りますし。精神はそもそも不要、実験で黒をいくつか咲かせておきましょうか」
花は色に応じてバフの効果が変わる。
その場に適した花を咲かせ、強化あるいは補助を行う──それこそが、コミこと狐魅童子の『プログレス:ブルームセンス』だ。
複数の花を同時に咲かせることも、彼女が方向の成長性を定めればできるだろう。
しかし、彼女の場合は配下が一点強化を薦めているのでそちらを伸ばしている。
他者の『プログレス』を使用する際、これがやや欠点となってしまっていた。
自分の使いたい方向性とは異なる方へ、より扱いづらくなってしまうことも。
…………お察しの通り、どれだけ俺の潜在能力を開花してもまったく意味が無い。
そのすべてが、:DIY:の文字通り神の如き力に回されているからな。
「さて、『SEBAS』。報告を」
《はい。黒の開花ですが、やはり魔力面での耐性が強く機能しているようです。逆に物理面の強化には弾丸でも変化が無く、純粋に魔力のみで生成されております》
「なるほど……機械を組み込んでいても、そのようになるのですか」
気になっていた、彼らの技術で生み出したモノの性質が。
それを耐性の強化を担う黒色の花を咲かせた狼たちで、いろいろと試していた。
結果、『魔動機盤』の効果が判明する。
機械仕掛けであろうと、生み出される産物は魔力で創られたもの──魔法や魔術のように、一から魔力で構成されたものだと。
──まあだからというわけでもないが、法則性を掴むいいヒントにはなるんだよな。