第二の箱庭 その18
第二の箱庭 その18
箱庭の中でも、休人たちが拠点とする施設が集まる南東区に隠れ潜んでいる。
家宅侵入罪を犯しつつも、これから何をするのか『SEBAS』と話し合った。
「──合言葉は?」
『──東京特許許可局』
「間違いありませんね……では、どうぞ」
俺の問いに答えた 客人 ・・ を、扉を開いて中に招き入れる。
今日の店舗は サービス一回分 ・・・・・・・ と取引し、借りたある休人の住まいだ。
だが今やその一部が、俺の用意した物で覆い尽くされている。
それでも当人が苦情を言わないのは、それ以上のメリットを俺がもたらすからだ。
「本日はどういった目的で?」
「……アップデートを」
「畏まりました。それでは、デバイスの方をこちらへ……はい、確かに。どういった内容がご所望ですか?」
差し出されるのは一台の魔動機盤。
外に出て戦闘を行う者たち用に、シンプルかつ頑丈な代物だ……だがそれゆえに、あまり応用が利かない。
休人たちが得られる魔動機盤は、この箱庭が住民が使う代物より一段劣っている。
その辺をお巡りさん──魔工機士から拝借した魔動機盤から察した。
だからこそ、俺はこうして休人たちに対して店を開くことに。
やっていることは至ってシンプル、彼らが望む形に魔動機盤を弄くる。
「えっと、処理能力が足りなくて。あと、もう少し入れられる数を増やせればと……」
「なるほど、たしかにこちらですとあまり数は入れられませんね」
魔動機盤にはプログラムがいくつか入っていて、魔力を籠めた者はそれを介して魔法や魔術のような現象を引き起こせる。
数、とはそのプログラムのこと。
休人が得られる魔動機盤は、基本的に入れられるプログラムが十にも満たないのだ。
スキルや武技、魔技と違い魔動機盤がもたらす力はシステムによる制限が存在しない。
つまり魔力関係の職業に就かずとも、むしろ物理特化でも魔法みたいなことが可能。
「普段はどういった使い方を?」
「斥候の方を……どうにか汎用型で何とかしてみようと思ったんですけど、やっぱりそれだと出力が足らなくて。こっちのまま、数を増やしたいんです」
そういった関係で、休人たちもこれをかなり重宝している。
……が使える種類が少ないため、彼らもいろいろと工夫を凝らしていた。
なお、出回っている魔動機盤の方は、数こそ多く入れられるが、代わりに処理能力やらプログラム一つひとつの制限があって戦闘にはあまり向いていない。
出力云々で困らない一般市民はそれでもいいのだが、それが必要な戦闘関係のお仕事に就く者たちは、休人と同様の魔動機盤(の上位版)を使っている。
「なるほど、分かりました。では、数を増やしてみましょう。もちろん、出力の方は据え置きで。可能でしたら、そちらも向上できるよう努力はしてみます」
「お願いします」
休人から受け取った魔動機盤を、部屋に設置されていた装置に接続する。
大型の魔動機盤……のように見せかけた、俺オリジナルの魔道具だ。
本来、魔動機盤の改良は専用の魔動機盤でしかできないからな。
信用と信頼のため、多少の演出はやっておいても許されるだろう。