第二の箱庭 その21
第二の箱庭 その21
箱庭外部では使えない、謎だらけのアイテム魔動機盤。
その改造を済ませ、客にそれを渡して帰らせた。
「……今日の仕事はここまでだな。しかし、外に持ち出すかー。意味無いだろうな」
《はい。旦那様であれば、あるいは……》
「その分のキャパ、アイスプルには無いからな──星の理、それを使っているわけだし」
魔動機盤のブラックボックス。
その中身は至ってシンプルだった。
この箱庭の管理者、つまり理を定める側によって仕込まれた小さな欠片。
それにより、本来ならばありえない事象が現実に引き起こされる。
なぜならば、それこそがこの箱庭の理なのだから。
「ただ、目的が分からない……自分で自分を殺してくれって言っているようなものだぞ。少なくともヘノプスは、真っ向から挑みを受け入れて(一回は)死んだわけだし」
《同じなのでは? 仮説では、この箱庭は人に機械技術と魔力を同時にもたらした場合の検証です。ですが、この箱庭では魔動機盤が普及している》
「……これもまた、試練ってことか? プログラムがあれば、スキルによる魔法システムの向上も不要になる。劣化するよな……人」
《当人、いえ管理者がそれを望んでいたかは不明です。ですが、現状だけを鑑みれば弱体化は成功したのでしょう》
魔動機盤は管理者の手によるもの。
なので、当然管理者が使用を否定すれば使えない──相手が自らを殺しに来た時、わざわざ道具を使えるようにすると思うか?
少なくとも、人々が作り上げた管理組織の武装は大半が魔動機盤によるものだった。
公の存在がそういったものなのだから、それに属する兵力も同じようになる。
「少なくとも、古代箱庭の『代表』は権能まで発現させて代々頑張っていた。レベルを上げ、スキルを磨き、それらを引き継いで……さて、こっちの人々はどうするのやら」
変化の促進剤こそ、俺たち休人だ。
彼らが魔動機盤と共に生き、築き上げてきた概念を取っ払う爆薬そのもの。
彼らの言葉が、動きが、外の世界を彼らに強く意識させる。
そうして一人、また一人と外の世界を求め管理者へと反旗を翻すかもしれない。
「…………でもあの施設、休人が来る前からあるって話だよな? 最初から、箱庭創造時点からそうだったのか、あるいは……」
《──管理者の力によって生み出された物、という可能性でしょうか?》
「ああ。どっちにしても、いつか挑むための準備はされているわけだな。問題は、ここの連中がそれをする気があるかどうかだけ」
世間で把握できる情報の中に、そういったものは見つけられなかった。
それは単に上が隠しているからか──そもそもその発想が無いか、である。