機械箱庭 その03
機械箱庭 その03
エクリの成長に感動しつつ、ターミナルの中を歩き続ける。
俺の後ろは陰に染まり、影法師たちが蠢き溢れていた。
「おっと、見つかってしまいましたか」
「白々しい。そんなに目立つ振る舞いをしていてよく言うな……お前がツクルか? 下からいつの間に出てきていたのか」
「これは手厳しい……ええ、見ての通りですよ。そして、こちらが私の力の一端。どうか彼らとも仲良くしてやってください」
そんな中、歩いていた俺を見つけた一人の魔工機士。
これまで見てきた彼らの装備より、しっかりとした造りの装いに警戒度を上げる。
何より、これまで集団行動ばかりしていた彼らの中で、それが許されるナニカ。
──圧倒的実力、それを持っているのが目の前の魔工機士なのであれば。
「固有の魔動持ち、ですね」
「ああ、こっちも見ての通りだ。名乗った方がいいか?」
「いえ、結構です。どんな魔動かもこちらは把握できておりませんし。それに今は、やるべきことがございますので」
「マジか、知らないのか。こりゃ参った、お前たち休人たちには何度も言い聞かせてきたはずなんだがな」
手で額をペシッと叩き、困り顔。
名前を知る、それが条件となって発動する能力などいくらでも存在する……まあ、目の前の魔工機士とは関係ないのだろうが。
「……まあいいか、捕まえてからゆっくり話してやるよ」
「そうですか。では、その機会は一生ございませんね」
「ん? そうなるか?」
「ええ、そうなります」
「「ははははは──」」
俺たちは共に笑い合う。
だが、向こうの手は腰に下げた剣に向かっているし、俺もまた擬似スキルの中から必要なモノを展開していく。
空虚な声だけがこの場に響いていき、唐突にそれは止む。
「──『事斬』!」
「──『無影供』!」
気づけば魔工機士の姿は眼前に、そして腕は剣を振るっていた。
理屈は不明、だがその剣はすでに俺を切り裂いていて──それを無かったことにする。
時が遡るように斬撃痕が消えると、健常な姿になった俺は横に飛び壁に足を着けた。
自動的に擬似スキル吸着が発動、身力により体は落ちることなく固定される。
「おっ、喰らったうえで死なないとは恐れ入る。大半の休人はどうにか防ぐか避けるか、それぐらいなのにな」
「正面から受けた方は?」
「そりゃあ、誰でも死んでたぞ。だから、それはお前が初めてだ」
「それはそれは、恐縮です」
何をされたか、『SEBAS』が急いで解析を行っているがそれも間に合うか。
そう思わせる気迫と技量、確固たる強さを目の前の相手からは感じる。
「そうそう、名前はともかくこれだけは聞いておけよ。俺は三番目だ」
「……確認ですが、何がでしょうか?」
「そりゃあ、強さに決まってんだろう。まだ上には上が居るからな、お前がやったっていう小細工も、もともと影響が無い連中だぞ」
「…………それは、俄然興味が湧きますね」
どんな場所であろうと、時として力を持つ者は現れるのだろう。
どうやらまだまだ、この箱庭は俺を楽しませてくれるらしい。