機械箱庭 その04
機械箱庭 その04
自称強さが上から三番目な魔工機士と、現在戦闘中。
……こういうヤツって、実際には条件次第で普通に一番強いんだよな。
いつ斬られたのか分からない、そんな固有魔動を扱う精鋭の魔工機士。
休人たちも正面から受け切ったヤツは居ないと言うし、充分に警戒しないとな。
「──影鬼、行きなさい」
『──』
「おっと、様子見か? なら、さっさとやらないとな──『事斬』」
先ほどと同じ単語、[ログ]を確認すれば『事斬』という文字が書かれていた。
名前から意味するのは『事』を『斬』る、つまり事象に関するナニカを斬るのだろう。
エクリスペックの影鬼たちを差し向け、魔法やら魔術やらを魔工機士に放つ。
だがそれらも、一切合切ただの一太刀ですべて切り伏せられていた。
《『事斬』ですか……魔力を展開、内部の機構により、それを現状の特殊な斬撃へと変換しているようです》
「ふむ、特殊な斬撃ですか…………固有魔動の理屈が完全には判明していないのでよく分かりませんが、なるほど対策が難しい技のようですね」
「おおっ、よく分かってるな。まあその辺は俺も知らんし、使えりゃいいって感じなんだけどさ。多少力を入れれば──こんな風になるわけだ!」
「っ……影鬼が、一撃ですか」
エクリスペックと語った通り、大半のことはエクリと同等の実力の影鬼たち。
だというのに、魔力を増大させた魔工機士の斬撃は彼らを文字通り一掃した。
無論、それができる連中を俺は何人……何十人ほど知っている。
だがそれでも、彼らは権能や最上位職の恩恵を受けている……それほどまでなのか。
《おそらくは、これもまた理として組み込まれているのかもしれません。あるいは、魔工機士という存在に与えられた使命──外敵の排除、それが顕在化している可能性も》
「おおー。お前ら休人とやるときは、なんか力が上手く入るんだよな。まっ、悪いことにはならねぇからいいんだけど」
「…………どうやら、そのようですね」
役割の任命、俺が【救星者】であるのとは違う──『騎士王』のような役目。
裁定者、守護者といった形で条件に沿う限り力が星より与えられるというもの。
この箱庭の場合、外部から来た者を相手取る際に補正が入るわけだ。
これは箱庭の核を運用するのとは違う、一種の理なので防ぎようが無い。
「で、またさっきのアレを呼ぶか?」
「……いえ、ここからは私がお相手しなければならないようですし。お仲間が来る前に、早々の決着をつけねばなりませんね」
「寄って集ってやるのは趣味じゃねぇけど、お前は世紀の大犯罪者だしな。捕縛優先、すぐにはやらせてやらねぇよ」
最悪、転移で逃げようとしても『事斬』で無効化されるかもしれないし。
理屈を暴き、その対策を用意しないと……集団リンチで捕まるのだけは避けないとな。