固有魔動解析 前篇
固有魔動解析 前篇
冒険世界 始まりの街
銀花に魔動を使わせることに成功した。
加えて、エクリにも組み込んだりした後、より高度な魔動である固有魔動の再現を試してみたりと……。
「──それで、我を頼ったわけだな」
「…………」
試していたが、結局頓挫してしまった。
なので、別のアプローチをしてみる……別の分野のプロフェッショナル、魔術の天才である『騎士王』を頼るという方法だ。
「だが、興味深くはある。魔動……純粋な魔力操作のみで森羅万象を操る術か。これまで考えたことも無かったな」
「まあ、魔術が使えるお前さんならいちいちそんなこと考えないもんな」
「魔力操作そのものに重きを置いた訓練は、幼少の頃に数分で済んでしまったからな」
「…………くそ、天才め」
数分、一日じゃなくて数分な辺りが天賦の才を強調しているよな。
その当時から『騎士王』だったのかは分からんが、継承するレベルの才はあったのか。
なお、休人も魔力操作はきちんと感覚を掴まないと普通はできない。
アバター補正でいろいろとやってもらえる休人でも、簡単にはいかないのだが。
当然数分でできる者など…………ゼロとは言わないが、彼女レベルはそう居ない。
そんな彼女だからこそ、似て非なる技術にもヒントが無いのか求めたわけだな。
◆ □ ◆ □ ◆
「──結論から言おう、固有魔動という領域には禁忌があるな」
「……まあ、それはこっちでも分かってる」
「我はこの資料でしか把握できないから詳細は分からんが、理に適わん。炉にくべるか捧げるか、形はともあれ犠牲ありきで構築されたものだろう」
実物を見たわけでもない『騎士王』だが、それでも『SEBAS』がそれなりに時間を掛けて得た情報を、その優れた知性のみで導き出した。
固有魔動、それは機械の箱庭の中でもごく限られた者だけが扱う特別な魔動。
事象を斬ったり空間を穿ったりと、ほぼ物理現象関係無くない? というレベルの。
ちなみに『SEBAS』曰く、かなり複雑ではあるがそれでも物理の範疇のようだ。
それだけの現実を改変する魔動、それを可能とするには──代償が必要となる。
「魂が使われているだろうな。それであれば処理も向上し、単一の魔動であれば複雑だろうと問題無くなる…………が、それは人の理から外れているぞ」
「ただの魂なら……まあ、俺や休人ならどうにかできるけどな。魔動が起こす事象に適した、才を持つ者に指定するとなると少々難しくはなるけど」
禁忌を語る『騎士王』は、脱獄時に相対したレベルで真剣な顔をしている。
できるできないで語ったら……うん、また戦闘になりそうだから止めておこうか。