現状報告 その08
現状報告 その08
どうやら邪神を従えたうえ、どこかで起きた大規模な戦争を終息させていた奥さん。
なお、『超越者』になる資格も得たようだがそちらは断ったようです。
「まず初めに、戦争を停めるために出張をしたのよ」
「パワーワードだな、それ」
「もう、茶化さないの。そうしたら偶然、戦争の裏で暗躍する組織について知れて……そこからはもう大変。内通者を見つけ出しては説得して、組織の偉い人を見つけてはまた説得して。本当に大変だったんだから」
「説得、ねぇ……」
創作物であれば、『説得(物理)』みたいなことになるのかもしれないが…………なんやかんや、その時々の説得の仕方が、彼らの弱点を偶然突いたのかもしれないな。
話を聞いていれば、戦争によって生まれる犠牲や負の感情を集めることで、邪神様が復活するタイプだったことが判明。
そこから瑠璃は、とにかく負の感情が生まれないように立ち振る舞い、休人パワーの見せどころである[インベントリ]で人々を救済していったようだ。
結果として、邪神に注がれるはずだった信仰力は大いに激減。
代わりに瑠璃がそれを受け取り、より強力な力を使えるようになったそうで。
「…………って、まだ強くなるの?」
瑠璃、もといアズルは種族レベルもそれなりに育っている。
そちらでの成長もまあ見込めるには見込めるが、一気に強くなることは難しい。
だが同時に、彼女は現人神としての強化システムも使えるのだ。
つまりは信仰による神格向上、命運の女神として現在休人を中心に信仰されつつある。
「詳しいことはあんまり言えないけど……とりあえず、自分の眷属として他の格が低い神様を迎え入れられるようになったわ」
「「「あっ(察し)」」」
「ふふっ、その通りよ。翔の予想通り、それで配下になってもらったの」
瑠璃に復活の糧を奪われた邪神だったが、これまで得た分の信仰力と崇拝していた狂信者を贄にして得たリソースで、強引に復活を遂げたらしい。
人々は戦争を中断し(もうほとんど終戦間近だった模様)、一致団結して邪神が生み出した化け物に挑んだそうで。
瑠璃は瑠璃で、アズル教団のメンバーと共に邪神を食い止めるべく戦った。
だがここまでの話を聞いてやはり思う、なぜそんな情報が外部に漏れなかったのか。
「それは──『SEBAS』君のお陰よ」
「……『SEBAS』?」
《申し訳ございません。旦那様へのサプライズと仰られたもので》
「うぐぐ……報連相はしてほしいけど、まあ知ってもどうにもならなかったか」
何から何まで瑠璃のやること成すことに干渉する……なんてことは、しないししたくないわけで。
どうやら裏で工作し、瑠璃がやっていた情報を曖昧模糊なモノとして誤魔化していたと語る『SEBAS』に、彼女の目論見通り驚くのだった。