現状報告 その09
現状報告 その09
どうやら、『SEBAS』が裏で瑠璃のサポートをしていたらしい。
これにより、情報の隠蔽と偽装が図られ多く広まることは無かったようだ。
「そして、これもまた『SEBAS』君のお陰よね──例のモノを」
《畏まりました》
「ま、まさか……!」
「ふっふっふ、やってみたかったのよこれ。アナタだけズルいわ♪」
それは先ほど、俺が『SEBAS』にやってもらっていたこと。
誰も触っていないのに照明は暗くなり、プロジェクターが光を放つ。
投影されるのは俺の知らない光景、瑠璃が見ていたであろう場所。
……瑠璃と彼女を崇める教団が、何やら巨大な影と相対している。
「アレが邪神か……見た目だけはたしかに邪神っぽいな」
「ふふっ、見ていれば分かるわ」
邪神(偽のはず)が黒い瘴気を解き放つ。
周囲の物が次々と朽ち果てる中、瑠璃──もといアズルが錫杖を打ち鳴らすと、清浄なエネルギーが彼女たちを包み込んだ。
それによって、瘴気は彼女たちに届くことなく周りにのみ影響を及ぼす。
──結界を除くありとあらゆるものが、その影響によって朽ち果てていくのだった。
「えー、何あのヤバそうなやつ」
「調べてくれた子によると、エネルギーを奪い取っているらしいわ。無機物有機物問わずに、存在するオブジェクトのリソースそのものをうんたらかんたら……ですって」
「ガチの意味のチートっぽい能力、いや神様だから『開帳』ってことは分かった」
生物なら生命力、無機物でも耐久値的なモノを奪い取っているのだろう。
瑠璃たちだけは神聖な結界で守られているのだが、壁も──床もその影響下だ。
創作物ならば、よく分からない理屈で無事な場合もあるが──容赦なく、万物から力を奪い続ける瘴気によって、戦いの舞台であった遺跡風の施設そのものが失われていく。
「そうそう、先に気づいてくれた子が居たから助かったわ。結界をすぐに弄って、ボール型にして浮かせてどうにかしたわ」
「で、邪神は…………落ちたな」
「邪神って、飛べないんだな」
「神様なのにね」
何も無い奈落へ、自ら生み出した力の影響で落ちていく邪神。
どうやら大地だろうとお構いなしに、何でも奪い続けた結果なのだろう。
《邪神の瘴気が届く範囲が効果対象なのですが、本来であれば宙に浮くなどの対処もこなせたはずでしょう。しかし、今回は奥様のご活躍により復活は中途半端、発現できた能力に制限が掛かっていたようです》
「あの力は確定で出るんだろうが……ああ、運悪くこういう状況に対応できるものが何も使えなかったわけだ」
「ふふふっ、運が良かったわ」
命運の女神様が言うと、まったくもって洒落にならない台詞である。
こうして、翼をもがれた神様は一人自滅したのだった。