職業プログレス 前篇
職業プログレス 前篇
アイスプル 迷宮『進魔の修練場』
風兎から育命世界の情報を受け取った。
風兎の強化イベントが発生しそうだが、どうやら『プログレス』を付けた今では解放を待つ他無いらしい。
「だいぶ増えているよな……おまけに、使える数も増えてきた」
《女神プログレスに対する信仰も、休人原人問わず受け入れられているようです》
「目に見える力、だしな。使える物は何でも使うタイプのヤツなら、有効的に活用するために祈りだって捧げるか」
そうして集まった信仰の力が、間接的に俺の強化へ繋がる。
具体的には、『プログレス』を拝借するという形で。
「さて、今回は職業系の『プログレス』だ。本当に見つかったんだな?」
《はい。かねてより、旦那様のご要望にあったものが。これまでも水晶を介さない変更や追加を可能にするモノや、他者の職業に一時的に干渉するモノなどはございましたが、それ以外はまだございませんでしたね》
「そうそう、だから後回しにしてきたわけだが……見つかったならさっそく試そう」
なお、事前情報によるとどちらも発現者は休人とのこと。
……こちらの世界にまで職業のことを持ち込んでしまうほど、強い意志があるようで。
《該当する『プログレス』は二つ。一つ目は『オンリーゼネラル』、カンストさせた職業に限り職業能力の一部を空白の器に書き加えることができます》
「空白、つまり新規の職業の器か。職業としてのレベルはどうなんだ?」
《極・特級職と同様の仕様で、無制限での成長となります……ただし補正が一切無く、どこまで上げても身・能力値の強化を、職業レベルの成長で高めることはできません》
「…………それなりに制限がある分、できることが多いってわけだな」
見習いや下級職であれば、まあそこまで時間を掛けずにカンストも見込めるだろう。
レベリングだって、別に他の職業の補正が受けられないわけじゃないわけだし。
この『プログレス』で重要なのはそこともう一つ、カンストが必須という要項。
これは俺の【救星者】の劣化版、みたいに思えちゃうんだよな。
「『SEBAS』、これって極級職は一生条件を満たせないよな?」
《はい。超級職であれば100でカンストとなりますが、極級職や特級職などのレベルに制限が無い職業は対応しておりません。必要であれば保有し続ける必要がある、そういうことなのでしょう》
この『プログレス』の利点は、職業能力の 切った貼った コピー&ペースト ができること。
EHOはシステム上、職業にいくらでも就ける……がペナルティが存在する。
就けば就くほど成長が鈍くなり、器用貧乏感が出てしまう。
だが『オンリーゼネラル』は、それを切り取りという形で無視できる。
そんな便利過ぎる能力だからこそ、制限があるのかもしれない。
おまけに切り取った後、レベルをリセットしても登録したままらしいからな。
《現状ですと、『オンリーゼネラル』で切り取れる職業能力に制限が存在し、見習い職と下級職のみです。これは成長に準じて、拡張されていくでしょう》
「……魔石じゃダメだよな」
《そうですね。魔石を加えれば、ある程度職業に制限が掛かる代わりに枠を広げる、などは可能でしょう。しかし、職業全般となると難しいですね》
魔石は本来、職に就くことの無い魔物たちから得られるからな。
そこから職に作用する、というのは……少し難しいだろう。