第一回職業解放前篇 その01
第一回職業解放前篇 その01
始まりの街
職業はやっぱり、『プログレス』に頼ることができないと分かった。
……一瞬、闇落ちしそうになったけど真っ当に何とかすることにする。
「──まあ、そんなこんなで一通り職業を集めてみようと思ったわけです」
「前に私の知る情報は教えたはずだが、まだ求める気か?」
「いえ、単に報告ですね。何か話せ、と仰られたので。見習い職や基礎的な下級職はある程度どうにかできますが、やはりその派生や中級は一筋縄ではいかないもので……」
「他力本願、ではないがな。『生者』のことだ、交渉の末なのだから私から強く言うことは無い。好きにするといい」
職業の解放、上級職や最上位職に就いているとそれができる職業が存在する。
かつて、『騎士王』にも【騎士】と【聖騎士】を解放してもらっていた。
今回は同様に、そういった解放が可能な職業に就いている人たちに当たってみる。
俺には生産チートという交渉の手札があるので、割と上手くいく気はするのだ。
「……ただ、蘇生薬や万能薬を振る舞うのはあまりしない方がいい」
「それは、なぜでしょう」
「分かっているだろう。本来、存在しないレベルの代物だ。それ一つで、戦況が大きく変わる地域もある。それが魔物であればともかく、人と人との争いともなれば特にな」
「…………ああ、そうでしたね」
うん、ルリが戦争を停めていたもんな。
そちらはすでに終戦済みで、今はかなり広まっている[掲示板]経由でその情報があちらこちらにばら撒かれている。
仕様的に『プログレス』を使うことができない逸脱者たちだが、俺が渡した簡易版ならばそれ以外のシステムを使うことが可能。
彼女もまた、そちらか自前の情報網でそのことを把握していたのかもしれない。
……まあ、ルリは普通に自分にできる魔法とかで何とかしたと思うけど。
「争っている場所、まだあるのですか?」
「いくつかな。小規模な小競り合いやら集落ごとの派閥争いだの、差はあるだろうが。大きいものであれば、貴公が知っているであろう仙人と帝国のものなどもあったな」
「…………ああ、あれですか」
最終的に、俺がこっそりと置手紙をして一先ずは落ち着かせたヤツ。
それに見合うメリットを提示したので、現状では動きを見せていない。
まあ、休人たちが帝国近くに到着している今では状況も変化するはずだ。
……もう一回、脅しを入れておいてもいいかもしれない。
「まあ、後回しにしましょう……最悪、休人ごともう一度分からせる形で」
「──あまり、禁忌に触れるような振る舞いはするでないぞ?」
「……ええ、承知しております。貴方様のお手を煩わせるような振る舞いは──極力控えることにします」
「しない、と言ってもらいたいものだがな」
存在そのものが禁忌みたいな星敵に、今更そんなこと言われましても……。
一瞬だけ為政者の顔をした『騎士王』も、いろいろと大変なのだ。
俺に出来るのはその手伝い……じゃなくて手伝うようなことが無いようにすること。
まあ、今回は禁忌を用いずに交渉を進めてみるという縛りでもしてみますか。