第一回職業解放前篇 その03
第一回職業解放前篇 その03
さっそく非戦闘職だが、裏取引で職業をいくつか解放してもらった。
残念なことに、同様のことをやってくれている休人は居ない……難しいのだろう。
《ほぼノーリスクな『騎士王』、相手を奴隷とすることが条件な【奴隷王】、そして触媒として価値ある情報を必要とする【教学長】だからこそ簡易で行えたのです。簡単にはできません》
先ほど俺が渡したのは、いわゆる論文。
金を払った時点でやってくれること自体は確定するのだが、論文の内容次第でその後も伝手を請け負ってくれるとのこと。
だからこそ、その旨を[掲示板]で確認した俺たちは割と本気で論文を書いた。
彼の休人が教鞭を取っている学校、そこにもいつかは行くことになるかもな。
「さて、小休止は終わりということで。ここからが本番だな。具体的に、どこの誰が職業の解放をやってくれるんだ?」
《最上位職の中でも、下位職の解放が可能な職業はそう多くありません。また、その職業に就職者が居る可能性、加えてそもそも条件が知られているかなども加味しますと……》
「真っ当にやっていたら詰んでたわけだ。でもまあ、『騎士王』から貰ったそれが絶対に可能な連中なリスト。加えて、そうでなくとも最上位職に就いている連中の【情報王】版リストもあるし大丈夫だろう」
付け加えると、[掲示板]内で就職したことを自慢していた連中も特定済みだ。
当人が言わずとも、それが可能かどうか分かれば追いかけてやらせることもできる。
……まあ、それが嫌ならばら撒くなという話だが、いちおうは縛りを設けている身。
強引なアプローチは避けて、ゆっくりまったり就職可能な職業を増やしていこう。
◆ □ ◆ □ ◆
冥界
始まりの街から東に出て草原へ、そこから極稀に落ちることで向かえる冥界。
……なんて条件を待つのは面倒なので、普通に転移で移動した。
番犬や死霊の群れを通り抜け、さっそく向かったのは黒い輝きに満ちた宮殿。
RTAというほどではないが、目的をサクサクと済ませることに……長居は無用だし。
「──ここに、【大死導者】の職業に就く者が居ると聞いたんだが?」
「誰によ……ハァ。まあ居るわよ、ここに」
宮殿の主、そして冥界を統べる存在。
それこそが『冥王』、『超越者』である。
ここは死の世界、そして死んだ存在であるアンデッドは職業に就けないが……例外も。
「生きたままここに来た存在、そう多くは無いから分かりやすいもの。まあ、とは言っても『生者』よりかは…………って、ずいぶんと禍々しくなっているわね」
「いちおう星敵になったからな。ちなみに名前は『超越生者』」
「……殺したら、報酬貰えるわよね?」
「『騎士王』相手に監獄から脱獄したぞ」
「──無理ね、諦めるわ」
どうやらこちらにも、監獄開設のお知らせは届いていたようだ。
もしかしたらあの中に、一度は死んでいた星敵も混ざっていたかもしれないな。
それはさておき、やはりリストに書かれていた通り【大死導者】はここに居たようだ。
情報によると自ら死につつ、蘇生を仕込み冥界に入り浸っているとのことだった。
なんと極級職、つまりたった独りしか就くことのできない貴重な職業。
それに原人で就いた偉大な先人……ということにした人物に、今回会いに来たのだ。
「それにしても、アイツね…………まあ、貴男ならどうにかなるでしょう」
「……凄く嫌な予感しかしないんだが?」
「研究が捗るから、なんて理由で自殺して蘇生して半死半生状態を保っている奴がまともだと思うの?」
「ああうん、無理そうだな」
だが、【大死導者】が解放できる職業は大変魅力的である。
禁忌系の交渉ができないのが一番つらい相手だが……何とかしてみようか。