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第一回職業解放前篇 その10

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第一回職業解放前篇 その10

──【神風兵】。

それは【操縦士】と【兵士】の系統に分類される、いわゆる複合系統の最上位職。

最低限、機械を用いた兵装が無ければ就けないそれは、今の時代では得られない職業。

だが、過去にはそれに就いた者が居る。

死した存在から、外付けの職業である超・極級職の器は剥離される──それでも、得たモノすべてが失われるわけではない。

◆   □   ◆   □   ◆

「……【神風兵】、これはこれは」

俺も就職条件をいちおうは満たし、それでも就職せずに残していた極級職。

渋っていた理由は至ってシンプル、就くことで得られるメリットが少なかったから。

人数制限が存在する極級職、それを独占し過ぎると制裁が下される。

それを行う当人から確認済みの情報もあって、避けることを元より選んでいた。

それより何より、【神風兵】という職業そのものが導く末路を知って止めている。

──就職者多数、離職者多数、もっとも多くの原人が就き、死んでいった職業なのだ。

「目標、前方の人型範疇生物の殺害……一部変更を確認。魂魄の確保、あるいは星敵討滅アナウンスの拝聴──了解。これより【神風兵】、任務実行──“決死必敵”発動」

「っ──[アライバー]!」

機械が魔力式のエンジンを噴かせ、宙に浮かび上がっていた少女。

宣誓するのは俺の討滅、文字通り必ず敵である俺を決死で討つ意志。

対抗するべく俺が用意するのは、似て非なる機械仕掛けの巨人。

呼び出しと同時に着装が行われ、体を一回りも二回りも大きくする。

……理由なんて、ロマンだからで充分。

操作は基本『SEBAS』主導で行い、ほぼ完璧な動きを取る──だがおそらく、純粋なスペックで向こうと差が生じている。

相手は極級職、無尽蔵にレベルを上げられその分だけ身・能力値が強化される。

傾向として【神風兵】の強化で上がるのは魔力と速度──器用さは求められていない。

「──攻撃開始」

「──『ロックオンレーザー:ジェム弾』」

バズーカ砲サイズの銃から、魔力で構築された弾丸が放たれる。

俺は対抗するように、必中の光線を向けたうえで宝石の弾丸を撃ち放つ。

速度は相手の方が上、しかし必中の性質による弾丸同士で衝突──相殺。

その結果に思わず舌打ちをしたくなるが、そんな暇も無く[アライバー]が動く。

「『ビームブレード』、抜剣!」

「──」

相手は弾丸の射出と共に近づいてきて、その手には槍が握られている。

それに対抗するべく、近接武器である剣身がビームで構築された剣を持つ。

やがてそれらはぶつかり合う──こともなく、『SEBAS』の超絶技巧によって槍を上手く躱し、【神風兵】を斬る。

光熱の刃が彼女を襲い、兵装ごと裂く。

それでも槍は、俺を狙おうと軋む腕を動かしこちらに迫ってくる……目標を達成するまで終わらない、悪夢のような戦いが始まる。