第一回職業解放後篇 その11
第一回職業解放後篇 その11
トレジャータイムなる、俺を狩るためのイベントが急遽開催された。
罠や構造がシャッフルされた迷宮内を、強力な魔物や強者たちが徘徊している。
「──ふむふむ、これは良い情報を見つけてきましたね。お手柄ですよ」
《お褒めに与り光栄です》
「賭けに必要として、各強者や魔物たちの部分的な情報を提供と……最低限でも、固有職の方を開示してくれているのが大助かりというものです」
誰に賭けるのか、それを決める要素としてきちんと発表されていたこれらの情報。
特殊な武器やスキルの保持や、職業なんかもバッチリ……もちろん『プログレス』も。
名前から能力を把握しやすいからか、全部が開示されている者は誰一人としていなかったのだが、有名な固有職などは普通に開示されていた。
分かりやすいものならば【剣王】、少し変わったものならば【砲聖】など……ちなみに後者は特殊な大砲使いである。
そうして集められた情報だが、観客たちが見ていたものを『SEBAS』がドローン経由で記録して送ってきてくれた。
お陰で見たことの無かった職業の名称を知れたり、職業の強制解放が可能な人物が居ないかをチェックすることもできた……残念だが、見つけられなかったけれど。
「しかし、ゆっくりはしていられませんね。最初に来たのは……おや、魔物ですか」
≪まず最初に挑戦者に辿り着いたのは、恐慌の騎士『 恐慌騎士 テラーナイト 』だ!≫
「そのまんまじゃないですか……では、さっそく始めましょうか」
『──ッ!!』
首の無い西洋騎士、といった見た目だ……騎士というのが難しいほどに、禍々しいオーラを放っているけれど。
アンデッドというか、霊体としての性質も備えているので、壁抜けを何回かしてきたのかもしれない……やはり、ここに陣取っていて正解だったな。
突っ込んできている騎士を無視しながら思考を続けているのだが、実際それをするぐらいには余裕がある──[インベントリ]から一杯の水を取り出し、ぶっかけるだけ。
『──ッ!?』
「聖水ですよ。素材扱いなので、いくらでも用意できました」
チート、:DIY:の素材創造能力。
用意したものは消失してしまうが、加工することで残すことができる──聖水もまた、ちょっと弄ればそれを保存できた。
なので生産はごく普通に、聖職者系統の職業をセットして手を加えただけ。
失名神話の神々には敬虔な教徒なので、聖水は素晴らしい質となって完成した。
結果、大抵のアンデッドは倒せるだけの浄化能力を秘めた聖水と化す。
惜しむらくは、それでも『星水の足袋』があればそれ以上に優れた星水が作れること。
そもそも普段使いはさしてしていないが、今回はそれらを隠しているタイミング。
死蔵していたものを使うチャンス、消滅もとい浄化するまでひたすら掛け続けた。