第一回職業解放後篇 その12
第一回職業解放後篇 その12
聖水をぶっ掛けてアンデッド退治。
恐慌を煽る騎士の亡霊だろうと、偉大なる失命神話を崇める俺の真摯な祈りによって強化された聖水には敵わないのだ(適当)。
「──なんて思っていた頃が、正直懐かしいですね」
《旦那様、次が》
「ええ、分かってます」
『──ッ!!』
激昂と共に突撃してくる獣型の魔獣。
取り出すのは『喰獣の剣』、網膜越しに投影される補助線に従って、剣を横に構えておく──体が自動的に動き、結果が訪れる。
一瞬の内に爪による攻撃を回避、体スレスレを通った際に剣を斬りつける達人技。
獣への特攻に近い即死効果がある剣に傷を付けられ、魔獣は息絶え粒子と化した。
死の因果を秘める[死天]謹製アイテム。
部分的に劣化させ扱いやすくはしているものの、それでも苦労する……『SEBAS』が補助をしてやっとこさ制御可能なのだ。
「ふぅ……まだ来ますか」
「──居たぞ、挑戦者だ!」
「ええ、挑戦者ですとも。ですので、こちらもそろそろ始めさせてもらうとしますよ──『タブースペルズ』!」
すでにかなりの時間が経過している。
結界によって背後からの襲撃は無いが、その結界によってその先へ向かうこともできないまま、戦闘が続いていた。
死の警鐘と『SEBAS』の探査により、残り人数もかなり絞られている。
一筋縄ではいかない相手ばかり、だからこそ切り札を一枚使うことを決めた。
巻物型の『プログレス』。
その効果を一言で語るならば──ガチャ。
一日一回、無料で魔法を一つだけ使うことができる──内容はランダムで。
そこから使い手が次々と発展させ、多くの派生能力が発現している。
ある能力が発現して以降、俺も欠かさずそれを時間がある日は使い続けていた。
「今回は……“スペルディスクライブ”! そして、そのまま“スペルトレード”!」
今の状況に適さない魔法だったので、スクロール化する能力でそれを分離。
同時に、これまでスクロール化してきた魔法をこの場に取り出し巻物に押し付ける。
対価と引き換えに、これまで出してきた魔法を一つ指定して発動できるこの能力。
通常よりも悪い燃費、かつスクロール化はできない条件で可能となった。
触媒として捧げられるスクロールたち。
支払い切ったその瞬間、巻物に新たな記載が増える──同時に膨大な魔力が、そこから膨れ上がるように広まり圧を放つ。
「……絶対にさせねぇ!」
身の危険を感じたのか、俺を殺してでも封じようとしてくる。
同時に、周囲からも様々な形が攻撃が行われ俺を止めようとしてきた。
だが、この能力を発動した時点ですでに魔法の選択は終了している。
同時に、死んでも死なない俺を相手にその選択は愚策──逃げることのみが正解だ。
体を真っ二つにされようと、全身を燃やし尽くされようと、重力でぺちゃんこにされようと、逃げられない堅固な封印を施されようと──それでも魔法は完成する。
「──“ 励核起合 ネフ ”」
禁書に記されし禁断の魔法。
どこかの誰かが考えた、科学を魔法に組み込んだナニカ。
魔力で生み出され、科学の理論でそれを加速的に増やし、融合。
物理法則に部分的とはいえ従うからこそ、他の魔法よりも軽いコストでできてしまう。
だが、その破壊力だけは本物に等しい。
直接俺を斬った【剣王】も、どこからか遠距離攻撃をしてきた強者たちも関係なく──そのすべてが核の光に包まれるのだった。