第一回職業解放後篇 その14
第一回職業解放後篇 その14
──【大船長】。
船員系統超級職である【大船長】は、船と船員の双方を強化できる職業だ。
船のみ、船員のみに特化した超級職には劣るが、代わりにバランスよく強化可能だ。
そんな超級職の力もあり、迷宮でありながら船でもある神代魔道具を操作する権限が与えられた存在──それこそが、俺の目の前に居る男だった。
◆ □ ◆ □ ◆
怒涛の展開を終えた俺に向けられた、自身の下へ向かうための転送陣。
そう告げる【大船長】の誘いを受け、俺は一気にショートカットを行った。
「……貴方が、【大船長】」
「そう、俺こそがそうだ。まあ、職業の格を語るなら今は【迷宮主】でもあるがな」
迷宮の管理に職業は必須ではない。
だが、細かな操作をするのであれば、たしかに必要となる──代償は迷宮との共生、迷宮が滅べば主もまた死を共にする。
「悪いが、ここは来賓用の部屋だ。いきなりお前さんを文字通り、俺の心臓部分に連れていくことはできない」
「ええ、むしろこれほどの対応をしていただけるのであれば光栄です。私は貴方に会うため、ここに来たのですから」
「それは聞いている……てっきり、アレの話かと思ったんだが違うみたいだな」
「アレ、とは?」
「知らない方がいい。知りたいなら、もっと知ってそうなヤツに心当たりがあるだろ? そっちに当たってくれ」
俺の情報については、迷宮の機構やら乗客が落とす情報で把握しているのだろう。
つまり、『超越者』関係か……あるいは休人関係かで分かることということか。
だがあまり話したくはない様子だし、俺も無理に問いただすことはしない。
別のヤツに尋ねるし、今回は彼にしかできないことを求める。
「それで、お前さんは何をしに来たんだ?」
「はい、端的に申すと職業の解放を求めに」
「休人の連中は、たしか資質自体は備わっているって話だったな。うちに所属するのが、たしかそんなことを言っていたぞ」
「ええ。ですが私はこの身の代償として、大半の職業に就くための条件を満たすことができません。それでも、選択肢は多ければ多いほど身を救います」
「……その見えない職業ってのが、わざわざ来た理由か?」
ある意味【迷宮主】とは、【救星者】の下位互換ともいえる。
星という巨大な世界、その中に存在する小さな世界を統べる存在なのだから。
そのため、迷宮の機構でどれだけ俺を調べても【救星者】だけは絶対に暴けない。
他の部分は……うん、:DIY:も同じぐらいプロテクトが掛かっていそうだな。
「まあいい、できないわけじゃないんだ。それはいいさ──対価は払ってもらうがな。お前さんはいったい、俺に何を支払うんだ?」
ここからが本題。
相手が満足の行く、こちらも得をするようなモノを出してこそ商人というもの…………最近全然、やってないけどな!