交霊実験 中篇
交霊実験 中篇
霊との交渉を行う職業【霊媒士】。
しかしながら、俺自身の適性の無さと検証に用いている場所の関係から、肝心の交渉を行うことができないでいた。
「よし、今回は良しと──」
《旦那様、一つご提案が》
「しよ……うって、何かあるのか?」
《はい──[アライバー]を、この場に》
「……よく分からんが、分かった」
つい先日、【大死導者】との戦いでも用いた機械仕掛けの武装[アライバー]。
その時の影響が……って、そういえばあの時に俺は──
「そうか……忘れてた。鹵獲して、そのままだったっけ?」
《はい。【大死導者】が用いた【神風兵】の魂魄、アレを『コレクトキャプチャー』で回収したままとなっております》
「入れたのは胴体、“エクス・ポート”で炉心に入れたんだよな」
《星を模し、理論上半永久的にエネルギーの製造が可能となる『擬似星生炉核』。おそらくはその中に》
「……大丈夫か、いろいろと?」
俺だけ、[アライバー]だけでは制御し切れないため、『SEBAS』による調律が必須の無限エネルギー装置、その中に押し込まれた魂がどうなるのか……知らないんだが?
ともあれ、こうして語っていても結果は出てこない。
まずは[インベントリ]から取り出して、中身を確認して──
「うん、見た目は変わらないな……確認するが、触ってもいいのか?」
瑠璃の願望がここで干渉してきたら、出した時点で美少女ロボに……なんてことになりかねない、と一瞬過ったのだが、幸いにも造形はそのままだった。
だが普段通りに使おうとした瞬間、魂魄が活性化してセクハラ扱いに……なんてことになるのは御免だ。
《『ライドシミュレーター』を使用し、検証してみましょう》
「おおっ、その手があったか!」
乗り物であれば何でも、様々な環境下での実験が可能なライドシミュレーター。
開発した乗り物を試すのによく使い、何度か問題点を見つける実績も出せている。
今この場には無いし、[インベントリ]の中にも無いが……『SEBAS』が置かれている場所から転送し、すぐこの場に配置してくれる──【救星者】だから、できたこと。
「試してみるか……[アライバー]、シミュレーターに乗ってくれるか?」
『──』
「…………うん、自我はあるな」
音声認識のシステムは、武装の展開のために組み込んだもの。
少なくとも、俺の指示通りに動くための仕込みを入れた覚えはない。
それでも音声を認識し、[アライバー]は誰も乗っていないのに動き出す。
……検証の結果次第じゃ、新たに部品を組み込まないといけないな。