闘技大会部門決め 前篇
闘技大会部門決め 前篇
現実
どうやら[アライバー]のAIとして、擬似的に【神風兵】は転生したらしい。
俺は【霊媒士】として、“交霊”で契約を交わした──話してはくれないがな。
「ついに、イベントが決まったぞ」
「…………」
現実でも、それなりに時間が経過したある日のこと。
いつものように電車に揺られていると、拓真がそんなことを告げてくる。
が、それを聞く俺はおそらくかなり疲れた表情をしているだろう。
テンションが上がるわけでもなく、聞いた内容をただ情報として受け取るだけ。
「ん、どうかしたか?」
「いや、すでにいろいろとやってたからな。冥界でパワードスーツバトルをしたり、豪華客船でアドベンチャーをしたり……濃密な経験だったな」
「いや、マジで何やってたんだよ。凄い気になるじゃねぇか。職業の解放をしてたんじゃねぇのかよ」
「してたぞ、けど俺の場合はその言葉の前に必ず『強制』の二文字が付くからな。それができるのは固有職連中だけだし、何事も無くそれができたのは最初の休人との取引だけになるんだ」
アレはアレで、本来ならばレポートを書いたうえでその内容まで問題視されるけれど。
俺の場合は『SEBAS』が正確な内容で纏めてくれるので、楽々クリアできた。
あちらの世界には、AIを用いた論文に違反などは無いからな。
お陰で誰も不幸になることなく、ただただ得をすることだけができたわけだ。
「で、イベントに関する話は?」
「おっと、悪い悪い。今回はずばり、闘技大会だ……おいおい、その表情はまたかよみたいな感じだな? チッチッチッ、前回とはまた全然違う内容だぜ」
「……具体的には?」
物凄くウザい、どや顔を浮かべる拓真を殴るイメージを脳内で浮かべつつ、どうにか感情を沈めて続きを促す。
「まず全貌が開示されていない。固定で無制限ルールなのは当然なんだが、投票で決めるのともう一つ、休人がアイデアを出して運営が採用したものを実際に採用するらしい」
「……それはちょっと、面白いな」
「だろう?」
アンケートの方はいわゆる復刻版、自分たちで一番盛り上がるヤツを選べということ。
そしてもう一つ……うん、こっちが目玉な気がするな。
「で、具体的に投票する方法は?」
「こっちでの明後日から、イベント世界の闘技場で投票が入れられるらしい。だからその辺は俺も知らん!」
「了解。あとは自分で見てみるとするか……闘技大会、今回はどうなるのやら」
無制限な無差別仕様は、最後に『騎士王』と『真海の主』でやったド派手な試合で休人が無双できない儚い現実を知らしめていた。
EHOは決して、休人がゲームであるからと原人を差別できない仕様なんだよな。
今回もまた、それに準ずる何かをしてきそうなのは……俺の気のせいかな?