闘技大会開発技部門 その14
闘技大会開発技部門 その14
三回戦の試合が始まった。
相手は元金剛にして現混合、マッチョキメラの休人コンゴウ。
牽制として放った“千変宝珠”は、足をカモシカらしき何かに切り替えて得た敏捷性によって回避された。
「では──“属性・爆発”」
「むんっ!」
魔力に新たな性質を付与し、着弾した瞬間に爆発するよう仕掛けを施す。
広がる攻撃範囲、だがコンゴウは速度をより高めることで回避を続けていく。
次第に縮まっていく距離、放つ数を増やしてもなおコンゴウは避け続ける。
そろそろ接近戦を、考えていると──それよりも早くコンゴウが動いた。
「──『 混喰 コンジキ パンチ』!!」
「ッ!?」
距離を完全に縮め終わる前に、宣言された拳撃。
だがそれと同時、彼の腕が蠢くと禍々しいモノとへ変貌していった。
マッチョな彼でも不釣り合いなほど、巨大な毛むくじゃらな腕。
前に突き出されていた腕がそのまま膨らんだものとなり、拳は俺の下へ到達していた。
とっさのこと、そのうえ腕によって視界のほぼすべてが奪われてしまったため一時的に俺の思考は停止してしまう。
常に展開している“生存結界”があるので死にはしない、が結界ごと吹き飛ばされて退場扱いにされなかねない……このままだとそうなるな、と頭の中だけが冷静に動く。
《──旦那様!》
なぜなら、動かずとも問題無いから。
頼れる執事『SEBAS』が、俺の代わりに対応を行う。
《一部プロセス破却、セーフティ解除。緊急行使──“界樹統誕”起動》
「なんとっ!?」
それは俺の足元から始まった。
パッと開いた小さな芽、それが超高速で成長して天をも穿つ巨大な樹となる。
オリジナルの技に必要な触媒の持ち込みが許されているこの試合、使用したのは神・世界樹の先端に生える若木。
それを一瞬で、どこまでも成長させて操ることができる術式。
これこそが、『界樹の神子』との邂逅から開発した術式──“界樹統誕”である。
結界の一部を引っかけ、俺はそんな世界樹の遥か高い位置に。
上空からコンゴウを見下ろしながら、ふと思いついたことを呟く。
「上から術式を降らせたら勝てないかな?」
《おそらくは、無理かと》
「ですよね……ウワサをすれば、ですね」
眼下に見えるコンゴウは、先ほどまでの異形の腕を元に戻して木登りを始めていた。
ただし、足や手を引っかけてのクライミング……ではない。
腕ではなく異形と化したのは足。
吸盤か何かの性質を兼ね揃えているのか、駆ける姿勢をまったく崩すことなく文字通り走り抜けている。
──いったい、どれだけの手札をまだ隠し持っているのやら。