闘技大会開発技部門 その28
闘技大会開発技部門 その28
決勝の相手の考察、【魔導勇者】を相手に生半可な戦いは通用しない。
勝てるかどうかではない、多少無茶な選択でもせざるを得なかった。
≪さぁ、いよいよ決勝戦! これまで多くの技が繰り広げられてきた開発技部門も、次で最後となりました! 果たして栄光を勝ち取るのは、どちらとなるのか!?≫
アナウンスが鳴り響くのを確認しながら、舞台に向けて移動を始める。
どうせ転送されることは無いし、タイミングよく出ておきたい。
≪赤コーナー、魔導世界より参戦。使える魔技は私には無い、創り出せないものも無い。星が認めた魔導の勇者、その叡智は雑音を掻き消すことができるか──【魔導勇者】!≫
有名人は真名を隠すことが多く、今回もまたそのパターン。
特に魔導世界は名を知ることで出来ることが多いので、当然といったところか。
休人だけは、そもそもいろいろな仕様でそうなりづらいのだけれど。
……個人情報保護法とか、現実にある様々なしがらみのお陰である。
舞台に向け、通路を出て会場へ。
どうやらタイミングは運営側も合わせたいようで、俺の出囃子もまたその時点から行われ出す。
≪青コーナー、冒険世界より参戦。武技も魔技も何でもこなす、未だ正体不明な存在。数多の対戦相手を、異なる手段で倒してきた。だが一つだけ分かること、それはこの場に相応しい力の持ち主であること──ノイズ!≫
歓声は正と負が半々といったところ、前回の少々アレな勝ち方については観客たちの中で賛否両論な模様。
ヤジとアイテムを受けながらも、舞台の上に上がり──【魔導勇者】を直で視認する。
服装は先の折れたとんがり帽子を被り、外套に身を包んだ典型的な魔法使いの恰好。
その手にする杖は【冒険勇者】の剣同様、とんでもない力を秘めた──星杖。
そしてそれらを身に纏う【魔導勇者】は、とても幼く中性的な容姿をした──子供。
「貴方がノイズ……いや、『生者』」
「…………その名前を、あまり公式の場で広められるのは」
「分かっているんでしょう? 周囲にちゃんと結界は張ったから大丈夫」
彼(女)の言う通り、発言を始める直前から音を外に漏らさない結界が張られている。
その静謐性はかなりのもの、死亡レーダーが反応していなければ分からなかった。
「それが分かるんだから、それだけは誇るべきだと思うよ…………それで、合っているの合ってないの?」
「……ええ、かつては『生者』であり現在は『超越生者』を冠しておりますよ」
「そう。分かっていると思うけど、星はまだ貴方を許していない」
「そこまでのこと、しましたかね?」
「さぁ、それこそ星のみぞ知る。本来の目的は誇示だけだったけど、もし貴方が居ればもう一つやることになっていた──討滅、させてもらえるかな?」
「……遠慮させていただきますよ」
「なら、実力行使でやるだけ」
結界が解除され、周囲に再び歓声が戻る。
何事も無かったかのように、星杖を構え何やら準備を始める【魔導勇者】……さて、勝つことができるのだろうか。