闘技大会開発技部門 その36
闘技大会開発技部門 その36
魔導“星呼びの 生笛 きてき ”。
自らにオリジナルの術式の火力を宿し、振るうことができるヤバいもの。
それを発動させた【魔導勇者】は、なおかつ周囲にその認知を進めることで、更なる強化を図っているらしい。
つまり狙うは短期決戦。
組み立てていた長期的な戦術はすべて破却され、早急にかつ比較的安全面を確保したうえで勝つための手段を模索する。
……うん、俺じゃなくて『SEBAS』がではあるけど。
俺に出来るのはせいぜい、“術式鑑破”を使うための媒介として機能することだけだ。
「──もういいだろう。どれだけ認知を進めても、はっきり言って運用には向かないコストなのは変わらないからね。今は君を討滅する、これに集中させてもらうよ」
「そう言わず、共に語り合いませんか? 私たちはもっと、仲良くなれるはずです」
「……君を監獄に叩き込んだ後で、面会を取り付けてあげるよ。そこでなら、きっと楽しく術式について話せるはずだよ」
「残念ながら、そのような処置を受けるようなことをした覚えはありませんので。遠慮させていただきます」
うん、入獄したら全部チャラ!
なのであそこから出るためにやったあんなことやこんなことは、すべて無かったことにしてもらおう!
「──“ 火炎 ヒエン ”」
「ッ!」
時間稼ぎは上手くいかず、【魔導勇者】による攻撃が始まった。
とっさに『SEBAS』が結界を操作し、その攻撃範囲からの脱出を行う。
発動された火属性の事象、辺り一帯を業火で焼き尽くしていた術式も、自らに宿し繊細な扱いを可能とすることでより厄介に──空気も焼き尽くす真紅の炎と化していた。
「さて、どうしたものか……」
《現状では策はございません。もう少し、お時間を頂きます》
「……これは、どうにもなりませんね」
お手上げ状態なのだが、それでも足掻くのが俺の役割である。
とにかく動き回って、少しでも一分一秒でも長く時間を稼ぐのみ。
「諦めることを進めるよ?」
「……それでは『生者』ではありません。行き足掻き、生き延びる。誰よりも生を渇望してこそ、『生者』ですので」
「残念だよ──“時喰”」
「ッ、それも宿すことができるのですね」
先ほどは“検索召喚”を用いることで阻害できていた危険な術式も、魔導によって直接発動されては阻止できない。
明らかに危険な時属性の術式を宿したことで、【魔導勇者】から感じ取れる死の警鐘はこれまでに無いレベルで鳴り響いている。
「──これでおしまい。これまでよく戦ったよ、だからもう眠りな」
「…………」
過程は省略され、俺の体は説明できないナニカでバラバラに。
こうして俺は、そのまま死亡状態として扱われ──