闘技大会開発技部門 その38
闘技大会開発技部門 その38
生命力に物を言わせ、肉体を(物理的に)繋ぎ留めた星敵な俺。
対する【魔導勇者】は、どうやら時空間の操作によるやり直しを始めたようだ。
「どうしたどうした、この程度かい?」
「…………」
「君が終わるまで、もう止めない! その動きはもう見ている!」
「くっ……」
動かそうとした手を叩かれ、硬直したところを蹴り飛ばされる。
距離を取るために自分から後ろに下がろうとすると、逆に近づき再び殴られた。
やり直し、トライ&エラー。
試行回数は不明だが、莫大な魔力が尽きるまで【魔導勇者】はその挑戦を止めず、俺もまただんだんと制限時間を削られている。
どんな小さな足掻きも見過ごさず、容赦なくこちらの手を封殺していた。
フェイントも何も無い、必要な部分だけ干渉してくるソレはまさに未来予知そのもの。
「ッ、だからそれをさせないって!」
「『己が身を──っと、面倒ですね」
「それはこっちの台詞。まだ諦めないの?」
「……そちらも諦めないのですから、こちらだけ諦めるというのも。魔力、若干ですが減少していますよ?」
無尽蔵かつ無制限、チートな【魔導勇者】の魔力量のはずなのだが、代償として用いられているのか、それが減少しつつある……苛立っているのか、口調が少し荒くなったな。
正確には、魔力の供給量は変わっていないが、代わりに最大量の方が減っていた。
また、オリジナルの術式も『ジクウカン』以外いっさい用いていない。
魔力を身に纏う身体強化っぽいことはしているのだが、それは技術として存在する。
子供の容姿ながらに、武闘家顔負けの動きで攻めてくるのはそれが原因だろう。
「……それで、君が勝てるのかな?」
「──無理ですね。ですが、それはこちらからも問えます。勝てますか、私に」
「勝てるとも。そのためにここに居る」
ちなみに語り合っている状態でも、俺は物凄くぼっこぼこにされている。
完全に口先だけの負け犬キャラだが、逆転の時はもう間もなく──
《旦那様、お待たせしました》
《『SEBAS』! それで、どうだったんだ?》
《術式名“時空環”、旦那様のご想像通り時空を操作することによるトライ&エラーでした。結論から申し上げますと──成す術はございません》
《…………えっ?》
冗談半分で勝てないかもしれない、そう向こうには伝えたけれど。
まさか言霊? 自分の発言が自業自得として返ってきてしまったのか?
《おそらく勝利した分岐もあるでしょうが、【魔導勇者】のソレはそれを許しません。言うなれば、どれだけ確率が低くともやり直せるダイスロールです》
《……勝ち目はない、と?》
《残念ですが──しかし、相手を勝たせないという選択肢は可能です。引き分け、それが我々に可能な最善となります》
術式の説明を聞いていると、むしろ引き分けも無理では? と思うのだが……。
しかしまあ、相手の目的は俺の討滅──それが防げるなら、やってみる価値はある。