闘技大会開発技部門 その40
闘技大会開発技部門 その40
≪何という展開! 両選手、物理職では無いにも関わらず、最後は殴り合いだ! この戦い、いったいどう終わるんだ!?≫
トライ&エラーを妨害し、相手もこちらも特殊なことをほぼできなくなった。
結果、俺たちは実況が叫ぶ通りお互いに肉弾戦を強いられることに。
「はははっ、盛り上がってきましたね!」
「……本当に何なんだ。さっきとは全然違う動きじゃないか!」
「さて、どうでしょう? お互い、武人では無いのですから、もっと自由に、過去のデータなど捨てて挑んでは?」
「…………」
──『我が身を厭わず、挑戦者いざ行かん』。
前半の『我が身を厭わず』、これは自爆特攻で使う『己が身を顧みず』と似ている。
だが今回のこれは、普段『SEBAS』がよくやる結界による強制操作前提の動きだ。
そして『挑戦者いざ行かん』、こちらは対逸脱者用の動きだ。
まあつまり、予定は未定で大局に合わせた自由な行動……その場での即興対応である。
術式への応対により、『SEBAS』は術式の行使などはできない。
だがそれとは別に、行動の解析と動きの最適化をやってもらっているのだ。
「隙ありです」
「──ッ!」
未来を視ていなくとも、先出しかつ後出しなじゃんけんをやっているようなズルをしている俺なので、【魔導勇者】の肉弾戦にも普通に対応している。
これまでの参加者が対応できなかったソレは、魔力操作による異常なレベルにまで強化された体術。
しかしこちらは最硬度にまで高めた結界を纏ったうえで、一切の反撃を行わせない封殺戦法──普通の魔法が使えない、だが他のオリジナル術式もできないからこそだ。
それでも勝てない。
今も隙を突き一撃を加えたが、攻撃の反動は魔力で抑え込まれ、また自然回復を活性化させて生命力的なダメージも治されている。
「はぁ、はぁ……」
「ふぅ、ふぅ……」
極限状態、すでに俺たちは疲労困憊だ。
普段よりも脳の処理を酷使してしまっている【魔導勇者】も、それに対応する演算の一部を自分でやっている俺も。
また、すでに時間も無い。
一瞥するのは『SEBAS』が可視化してくれた現状の維持可能時間……あと数十秒、それが死亡判定となるまでのリミット。
「──はぁああああ!」
「っ、それを待っていたぞ!」
「!?」
「──“無虚”!」
俺が一気に近づき、攻撃しようとしたところで【魔導勇者】が叫ぶ。
封じられているはずのオリジナルの術式、その兆候が確認された。
その手に宿すのは、異常と死の警鐘が激しく鳴り響くナニカ。
それをこちらに近づく俺に、カウンターのような構えで向けてきた。
「……ええ、こちらもですよ」
「!?」
「無属性のオリジナルの術式、それは想定していましたので。だからこそ、この一瞬だけ使えればいい」
《──“検索召喚”、『無限虚溝』にアクセス成功。強制召喚を実行します》
お互いの仕込みを同時に開示。
虚無のエネルギーが展開され、この場すべてを包み込んだ。
このタイミングで使われるであろうオリジナル術式、そのアクセス先を読み取りそれを代わりに使うことを俺たちは決めていた。
結果、このような展開に。
出現場所はお互いの間、そこにいっさいの制御がされていない荒れ狂うエネルギーの塊が──