闘技大会開発技部門終了 その08
闘技大会開発技部門終了 その08
敬語がなっていない、ルリのお説教がクレセンキャットに炸裂。
……自分が言われるだけなら寛容だが、俺に差をつけて言われると怒るのだ。
ちなみにだが、そういった事例自体は何度も発生している。
ルリという星に目を奪われ、路傍の石を蹴飛ばすぐらいの容易さだ。
それでも話を上手く纏め、どうにか本題である情報共有を進めることができた。
彼らが崇める月猫教、新興宗教はどのようにしてできたのか気になるからな。
「──我らが神、月猫様は幸運を司るお方です。特にガチャ、あるいはドロップ率などに特化した」
「おっと、急に現代的な単語ばかり聞こえてきましたね」
「アズル様は命運の神ですが、我らが神をそうした運命の中でも、確率や可能性といった分野での御業を得意としております。運の収束や前借り、また儀式による獲得率の向上なども見込めます」
「…………かなりの割合で、休人たちの思想が混ざっていそうですね」
「ええ、なんせ教徒の九割九分ほどは、休人のみでの構成となっておりますので」
そりゃそうだ、ルリが司る命運はかなり幅が広い。
そのうえできちんと効果が出ているからこそ、原人たちにも祈る者が現れた。
対する月猫神とやらは、休人たちがよくいう物欲センサーを切れるような存在らしい。
……考えてみれば、三日月や猫はたしか幸運の象徴だった気がする。
ガチャやレアアイテムに挑む際、何かしらの儀式を行うというのは昔からある定番だ。
どうやらそれをガチでやり、ついに宗教まで至らせたのが目の前の彼らしい。
「ちなみにですが、教徒に何か求めているものなどはあるのでしょうか?」
「いえ、特には……これまで我々が物よ、いえ試練に挑む際、助力していただける神々が居ないことを悔やんだことが始まりである宗教ですので。祈り、それこそが我らが神の求められる唯一のモノとなります」
「今絶対物欲って言ったわよね?」
「試練です。何かを欲するその心、ゲーマーからそれが消えることは絶対に無いと言っても過言ではありません。気まぐれな月猫様に微笑んでもらえるよう、我らはよりいっそう祈りを捧げる必要があるのです」
猫と言えば、たしかに気まぐれなイメージがあるよな。
……でもあれだよな、それを理由に祈りが足りないとかいう邪教感がある気がする。
「さぁ、我らが神のご説明はこれにて。お二方のお話、ぜひとも聞かせていただきたい」
「ええ、それじゃあ私が──」
「お任せください。失名神話のすべて、この代弁者たる私がお聞かせしましょう」
すべて、と言ってもあくまで俺の知っているすべてだ。
早く先に、ありえないことすらありえてしまうルリの話よりも事前に伝え切ろう!