闘技大会無制限部門前篇 その08
闘技大会無制限部門前篇 その08
呪殺でどうにか水人族の少女を退場に。
対象から省いた【獣王】たちの娘はともかく、妖刀を振り回すだけで【操奏剣主】は呪殺を斬り裂いた……チート過ぎん?
「……嗚呼、呪いの影響を断つ方向で強化したわけですか」
初期から借りていた『プログレス』だからこそ分かるのだが、もともとは装備というかセットしていた武器の持つメリットデメリット問わず、その影響が発動者に来ていた。
ただ、俺が借りていた先とは違う派生に、彼は『サウザンドエッジ』を伸ばしている。
……無限に剣を創る、その幻想は彼以外にも発現者を生みだしているのだ。
《ノーリスクとは言いませんが、使用していない間の効果をゼロにしているようです。代わりにメリットも発生せず、対策となる異なる魔剣や妖刀を同時に使用しなければ、通常通りデメリットに引っかかります》
「無条件で無効化、とできるほど甘くはありませんか……数を減らせばできなくはないかもしれませんが、その数も考慮に入れてこそのビルドですよね」
前提として、無数の剣を操ることが想定されている【操奏剣主】。
そのうえで、幾百もの剣を操ることができる『サウザンドエッジ』だ。
同時に操る数を増やせば、燃費が悪くなる代わりに火力も出るだろう。
そしてその代償を補うように、他者からその燃料を奪う魔剣や妖刀を使う……と。
「練ったままで正解だった、ということですかね。それでは改めて、私からも攻撃をさせていただきますよ──“地裂開闢”」
『──は?』
先ほどの“デッドデュエット”はあくまでおまけ、本命を通すためのブラフ。
呪殺でも何でもない、純粋な物理……ではないものの、ほぼそれに近い仙術(物理)。
通常時よりも高く、『闘仙』に限りなく近い状態となったこの体。
それを余すことなく動かし、極限まで高めた仙丹を足に集め──振り下ろした。
虚弱な男の無意味な行動。
だがそこに宿る異常なまでの仙丹が、そして世界の理が起き得る事象を書き換える。
まず、水人族の少女によって罅が入っていた舞台──これが木っ端微塵に崩壊した。
そのうえで空は大きく震え、世界そのものが震えているとばかりにこの場を揺らす。
「な、何が……」
「──“ニュートンの林檎”」
「っ……くそっ」
驚きながらも、すぐに状況を掴もうとしていた【操奏剣主】。
だが俺、というか『SEBAS』はその一瞬の隙を突き“ニュートンの林檎”を発動。
油断、そこから生じる揺らぎ。
薄くなった防御網を掻い潜り、彼の脳内へピンポイントの重力攻撃を行い──擬似的な死亡判定を引き起こし、退場させる。
開発技部門での俺を視て、対策自体はしていたのは間違いない。
だが長期的にそれを見せていれば、当然その対策をこちらも講じるだけ。
……うん、普通はできないけどな。
さすがは『SEBAS』、ミッションコンプリートである。