闘技大会無制限部門前篇 その09
闘技大会無制限部門前篇 その09
天地を揺るがす“地裂開闢”、そしてほぼ必殺の術式“ニュートンの林檎”によってどうにか【操奏剣主】を退けられた。
──これにより、舞台に残った人数が二名となり、本戦出場者が決定する。
「──なぁ、なぁおい!」
「……おや。これはこれは、本戦出場おめでとうございます」
「あ、ああ……じゃなくて!」
俺は早々に舞台から降りたのだが、追いかけてくる舞台上に居た参加者。
再びローブを被り認識はしづらいが、その中身は【獣王】たちの娘さんである。
「アンタ、いったい何者だ?」
「何者、と言われましても……私以外の何者でもございませんが」
「……そうか。なら、直接正体は暴くしかないってことだな」
「そうなりますかね……期待していますよ」
なんてやり取りをした後、俺は自前で展開し(てもらっ)た転移術式で移動した。
……文章がおかしいが、『SEBAS』はいちおう俺を介して術式を使っている。
そのため、ある意味俺が使っているということで間違いは無いはずだ。
実際に完全な独力でやれ、と言われても無理だけどな。
◆ □ ◆ □ ◆
普通にネタバレしても良かったのだが、この時俺はある視線を受けていた。
そのため早々に移動し、その視線が次に向けていた場所へきている。
「よう、久しぶりじゃないか『生者』」
「ええ、お二方も──【獣王】さん、それに『覇獸』さん…………大丈夫ですか?」
「ん? ああ、こいつはいつも通りの発作を起こしてな…………ハァ」
自分たちの子供を愛する『覇獸』、いわゆる子煩悩というアレだ。
俺とルリはそこまでじゃないし、かわいい子には旅をさせよタイプ。
だがそうではない彼的に、先ほどまでの試合はいろいろと思うところがあったわけだ。
……ちなみに試合終了時点から、彼はずっとこんな感じだった。
「ところで、私を呼んだ理由は?」
「分かってるんだろう? あの娘のことさ。さっきのはいい感じだったよ……闘争本能がビンビン出てたしな」
「……彼女も、そんな感じなので?」
「そりゃそうさ、なんてたって俺の娘でもあるんだからな!」
戦闘狂の兎耳族の女性。
彼女の血を引く少女もまた、やはり戦闘狂の気質だったらしい。
そういった意味でも、彼女が本戦でやる気が出るような行動が求められていたと。
……だからこそ、呼び出された目的も自ずと見えてくるわけだ。
「当たるとは限りませんよ」
「悪いがしばらくは頼むよ。最悪、うちにあの姿で来てくれればいい。呼んだから戦えって言えば、ノリノリさね」
「……まあ、いいですけど。弁解とか、させてくださいよね?」
彼女も俺のやり口は分かっているだろう。
それでも頼むのだから、何か経験させたいことがあるのだろう……同じ子持ち、パパママの繋がりとしてやってやろうじゃないか。