闘技大会無制限部門前篇 その11
闘技大会無制限部門前篇 その11
試合の相手は【獣王】の娘さん。
なるべくしてなった、組み合わせについての策謀は考えない……心当たりが一つ、明確に存在するからな。
≪赤コーナー、冒険世界出身。【獣王】、そして『超越者:覇獸』。偉大な二人の血を引く彼女は、その力をどのように大会中へ刻み付けるのか!? ──カレット!!≫
その名前は偽名でも何でもなく、彼女の呼び名である。
それと、【獣王】夫妻は拾い子も何人か家族に入れているので、純粋な子だと今発覚。
ちなみにケモミミは白い虎のもの。
いわゆる白虎耳族──これは両親の性質が混ざり合ったものだ……獣人というかジャンルが広い種族だと、そういう仕様である。
そんな彼女は両手に籠手を着け、ガンガン打ち鳴らしていた。
気になるのは、籠手の甲の辺りに埋め込まれているオーブ……うん、アレだよな。
≪対する青コーナー、冒険世界より参戦。もしかしなくても、やはりあの人なのか!? 予選では【操奏剣主】を無傷で倒した注目の的。まさにダークホース、今度は何をするつもりなんだ──ノーネーム!≫
すでに彼女には俺が『(超越)生者』だと知られているのだが、そもそも大会が始まる前に参加名は登録しておくものなので、急な変更はできないのだ。
そんなこんなで、毎度適当な名前を付けての登場であった。
即バレな展開を把握できていれば、少しはまともに……できたのだろうか?
「なあ、アンタに一つ聞きたいことがあるんだが?」
「……なんでしょうか?」
「──最初から全力でやれよ。こっちもそのつもりで行くから」
「…………ええ、承知しました」
元より負けるつもりは無かったが、それでもどこまでできるのか……花を持たせるわけでは無いが、小手調べ的なことをやる予定ではあったが──それは無しにしよう。
≪準備ができたようですので、さっそく始めましょう──試合開始です!!≫
実況席の声を受け、まず動いたのはカレット──オーブの内、右側に付けていたものが光を放つ。
「おらぁ!」
「──」
光を放ったのと、彼女が拳を撃ち込んできたのはほぼ同時。
見当がついていたからこそ、的確な動きで『SEBAS』がそれを防いでくれた。
「『覇獸』さん、そして【獣王】さんの合作ですね……」
「それぐらいしないと、勝てないだろう? 少し重い代償も……今回のためだ!」
喰らった魔物の性質を取り込むことができる『覇獸』、そして【獣王】が発現させた、取り込んだ性質をオーブに封じることができる『プログレス:ビーストオーブ』。
つまり二人が力を合わせ、娘用に強力な魔物のオーブを創ったわけだ。
まさに親の愛……厄介なことこの上ないけどな。