闘技大会無制限部門前篇 その18
闘技大会無制限部門前篇 その18
法則を捻じ曲げ、相手にルールを課す。
そんな厄介な 遺製具 レリック 使いが、ショウの対戦相手であった。
「攻撃の禁止、ただしそこに光線銃は含まれていない……なんか引っかかるんだよな」
《特定の、相手にのみ作用する制限というものには、必ず多大なコストが掛かるはず。それが無いということは──》
「お互いに作用はしているけど、それを掻い潜るために光線銃、ってわけだな。特定の動きとかそういうの…………あっ」
舞台の上を改めて確認する。
現状、ショウは攻撃するために近づいているのだが、光線銃を掻い潜り剣で攻撃しようとすると、それを結界が阻んでいた。
どうやら剣の保持そのものは問題ないようだが、攻撃は通らなくなっているらしい。
最悪の場合、持っていない間は装備の恩恵が機能しないだろうし、無いよりはマシか。
そんなショウの攻撃が通じない、つまり一時的に隙を晒してしまっている状態。
だが対戦相手は間近での反撃はしないで、いったん距離を取ってから光線銃を放つ。
「……一定距離での攻撃を禁ずる、みたいな条件か? 光線銃ならスキルとか無くとも使える仕様にしてあるし、状況に応じて禁止する距離を変えれば自分だけ有利な戦闘をすることができる」
《──おそらくは、それが正解かと》
「実際にあっちで戦ってたら、分からなかったかもしれないな。俯瞰して観て、考える余裕があるから何となくだ」
──だが、うちの息子は天才だからな。
それに気づいたのだろう、再び接近すると見せかけて途中でバックステップ。
その瞬間に剣を振りぬくと、そこから斬撃が放たれ対戦相手に飛んでいく。
とっさに防御しようとしたのだが、それよりもショウの一撃の方が速い。
「さすがに一発じゃ決まらないだろうが、決めたことに意味があるからな……」
最初から遠距離で斬撃を放てば、ただ禁止ルールを変えて防がれるだけ。
だが今のようなやり方ができる、そう思わせるだけで相手の行動を妨害可能だ。
事実、対戦相手がショウに何かを話し、それにショウも答えている。
会話の内容は分からないが、おそらく遺製具の効果について話しているのだろう。
「遺製具はまだあるからな……全部使えば丸裸な状態だけど、負けるよりもマシって考えればやりかねんし──ッ、来たか」
《左手に光線銃、右手には……柄のみの武器ですね。アレも遺製具のようですが》
「アレは何となく分かる。何かを装填して、武器にできるタイプだな。問題は、具体的にどこまでその対象にできるか、だ」
柄だけの武器、というのは男のロマンなので休人界隈で開発はされ続けている。
だがその遺製具版ともなれば、できることの規模がまったく違う。
──シンプルに出力が凄い、とかならまだ楽なんだろうけどな……。