闘技大会無制限部門前篇 その28
闘技大会無制限部門前篇 その28
三回戦が始まった。
見届けるのはショウと、魔導世界の『八大星魔:理操の導き手』による試合。
≪それでは、試合開始です!≫
お互いにすぐは動かない──そう思った矢先、ショウが前に駆ける。
魔導士に時間を与えれば、その間にいくらでも術式を積み上げられてしまうからだ。
ゆえに速攻、距離を詰めて術式の展開を防ごうとする。
──だがそれは魔導士の中でも、魔法・魔術を扱う者たちに用いられる対策だ。
「そう、魔装もあるんだよな」
《転移系の魔装はとても希少ですが、彼らの地位であれば当然有しているでしょう》
ショウが近づいたとき、その剣が当たるギリギリで転移の魔装を起動。
転移を準備していなかったからこそ、その回避アクションをショウは見抜けなかった。
ゆえに時間を稼がれてしまう。
お次に展開するのは魔法、スキルを育てればその分だけ強力なモノが使える──最上位に近い魔法を、当然彼は使える。
バッと手を前に突き出すと、ショウはその場で蹲ってしまう。
まるで巨大なナニカに圧し潰されてしまっているかのように、立ち上がれていない。
「重力系の術式か……」
《かなり高度な術式です。純粋に重力魔法だけでなく、闇属性を重ねているようです》
「それって、どういう効果が?」
《元より、闇属性には呑み込むという概念がございます。重力属性による力場を闇属性が吸収・収束。そうすることで、通常よりも強力な力場で対象を拘束できるのです》
うーん、難しい。
まあ要するに、範囲技を単体限定にすることで威力を上げた……みたいなことか。
だからこそ、休人としてかなりのレベルを有するショウでも動けないでいる。
純粋な力比べならば、間違いなくショウの方が上……それでも技量はあちらか。
「多少、力技になるのは仕方がないってことだよな……『ブレイブソウル』、展開していたのにこうなってるってことは」
《そうですね。一回戦のように魔法剣を使うことは難しいでしょう、加えて接近戦が困難であることからまともに戦うことも》
「魔導士は距離を取って戦う。セオリー通りに戦っている分、向こうはかなり有利なんだよな……転移の魔装も時間経過で再使用できるし、何なら他にもいくつか魔装は持っているはずだろうし」
試合開始直後に、『ブレイブソウル』は起動していたが、それでも拘束された。
魔装、魔法と使っていて、そのうえまだ魔術も存在する。
今のところいいとこ無し、一方的にやられている状況だ。
息子の苦戦する様子に俺もハラハラドキドキ……頑張れ、ショウ!