闘技大会無制限部門前篇 その36
闘技大会無制限部門前篇 その36
一か八か、【調律姫】の能力で一気に呼び出した従魔たちを無敵化するマイ。
現在、三体の式神を扱う『陰陽師』はそれに対し──切り札っぽい符を手に取った。
「…………やはり九拿か」
《やはり通常の符では抑えることができず、相応のモノを──遺製素材を用いて封じていたのでしょう》
「持ち運びも大変なんだな……って、そんなこと考えている暇は無いな」
圧倒的存在感を放つ九拿。
彼女の種族は【神子】、生まれもっての才覚は最高峰、とんでもスペックを持つ彼女はかつて迷宮の床をぶち抜く力を放っていた。
「そして、持っているのは例の妖刀か……」
彼女と出会ったのは妖刀の迷宮。
妖刀だらけの迷宮にして、他ならぬ迷宮そのものが妖刀によって生み出された世にも珍しい迷宮。
大半の妖刀を何だかんだ彼女から貰えたのだが、ただ一振り迷宮核となっていた妖刀だけは彼女が持っていった──神子の膂力に耐えられる、極めて頑丈な禍業物を。
『──『■■』』
モニターの中で、九拿が呟くナニカ。
すると膨大なエネルギーが妖刀の中に吸い込まれていき、妖刀そのものに変化が生じ始める。
そして、そのまま九拿は妖刀を一振り。
あらゆるものを断つ、そう思わせられるほどの剛の技──上から下に振るわれた斬撃、それは舞台内を断ち割る一撃と化した。
「……えー、なにあれー」
《当時の解析情報から推測される能力としては、おそらく再現の類いかと。対象は妖刀、その能力を代償と引き換えに引き起こす……そういったものと思われます》
「……無制限じゃないよな? そもそも使うために必要な前提条件は?」
《……妖刀喰らいでしょう》
うん、知人との相性最悪じゃないか。
刀マニアな【刀王】、そもそも妖刀の鍛冶師である『辻斬』などなど……妖刀をこよなく愛する者が多いのだ。
元より、様々な事情で嫌われているのに、妖刀を喰らう妖刀まで『陰陽師』は手にしている……最悪俺、暗殺依頼とか発注されてしまうんじゃないか?
「で、何を再現したんだろう? 斬撃を拡張する? それとも空間干渉的なヤツ?」
《断定はできませんが、斬撃の拡張が正しいかと……再現そのもののコストに加え、拡張にもコストが掛かるはず。空間を利用しての斬撃では、何度も使えないでしょう》
「まあ、九拿ならできそうな気もするが……なるほど、アレなら無敵も関係無く強引に突破できるんだろう」
無敵化しているマイの従魔たち、だが攻撃の影響全部を無しにはできないようだ。
つまり、攻撃の余波を受けて退場になっている従魔たちが居た。
──何というか、スペックのごり押しってこういうことを言うんだな。