闘技大会無制限部門前篇 その38
闘技大会無制限部門前篇 その38
マイは『陰陽師』に敗れた。
残念なことではあるが、相手も強者相手に渡り歩いてきたのだからしょうがない。
そして、次は俺の番となる。
対戦相手は生産世界の逸脱者、『星宝級職人:忌創展概』──相手にとって不足なし、何としても勝ってみせよう!
≪赤コーナー、彼女は禁忌にして異端の申し子! 使える物は何でも使う、たとえそれが罪であろうと! それはまさに奇想天外、果たして何を魅せるか──生産世界が選んだ星の宝、『忌創展概』!≫
舞台の上に現れたのは、白衣姿の女性。
科学者然とした振る舞いだが、腰には術式の媒介である杖があったり、魔装の指輪を嵌めていて……『プログレス』も付けていた。
逸脱者 けんのうもち であろう彼女には、擬似権能の媒介である『プログレス』は使えない。
だが、それ以外の用途──休人が当然のように使う[メニュー]の代理として使える。
アナウンスの通りならば、使える物なら何でも使うからなのだろう。
無制限部門とはいえ取り出しに取り決めはあるだろうが、使えるには使えるからな。
≪青コーナー、こちらも負けちゃいない。武術も魔導も生産も、何だってこなしてしまう実力者。相手は星の宝、だがこの選手は何かすると期待してしまう! さぁ、今度は何をするんだ──ノイズ!≫
いちいち転移でその場に現れるようなことはせず、ゆっくりと徒歩で舞台へと向かう。
その間、『SEBAS』が術式を構築して待機──準備を済ませておく。
「──君が星敵か……うん、どこからどう見ても普通そうなんだがね」
「さて、何のことでしょうか? 私はノイズです、それ以外でもそれ以下でもありませんので悪しからず」
「おっと、そういうことになっているね。僕は『忌創展概』、そう呼ばれている何の変哲もない研究者さ。ちょっとだけ、派手な実験が好きなね」
「ちょっと、ですか……」
舞台に上がったところで、あちらから声を掛けてきた。
研究者、そう彼女は自分を呼ぶが……その実験内容はかなりのものらしい。
魔法と科学の融合、禁忌の術式の解析、休人たちによる被験……まあ、いろいろとやっては様々な技術を開発しているようだ。
その恩恵によって、生産世界はかなりの発展を遂げている。
ゆえに多少のお痛も許され、公認という形で好き勝手やっているのだ。
「君を討滅すれば、これまでダメだって言われ続けたこともOKにしてくれるらしいからね。今回ばかりは、負けられないんだよ」
「ちなみにその内容、お聞かせ願っても?」
「──星の解剖」
うーん、超マッド。
生産世界がどうやってその願いを叶えるのかはともかくとして、相手もやる気な状態なのは理解した……それでも、勝たないとな。