闘技大会無制限部門前篇 その42
闘技大会無制限部門前篇 その42
霊体を使役する『忌創展概』、曰く不死性の検証に使っていたようだ。
そして、その検証は在り様と剥離を調べるものだった。
彼女に剥離の意味を問うた時、これまでと異なる動きを見せ始めた霊体たち。
召喚媒介の指輪を通じ、俺への対応を経験していた彼らが無謀に突貫を始めたのだ。
「……これは」
「単純な話さ。剥離、つまりリセットしただけに過ぎない。君を恐れ、動きに鈍りが生じていただろう? たしかにその経験は、意味のあるモノだ……しかし、この場において無用であり不要でしかない」
「だからそれを奪った、真っ新な状態にしたと?」
「言っていいんだよ? もっと簡単に、殺したとね? 決して死なない不死、では死とは何を意味するのか……その答えの一つに、僕は経験を挙げたんだ」
霊体たちの特攻は続くが、それは果てしなく無意味としか言えなかった。
極めて効率的に展開される“千変宝珠”の術式は、無尽蔵に発動できる。
経験により少しずつ、出現した瞬間の対応で生存する時間を増やしていたのだが……それも失われ、現れた瞬間に突っ込んでは、そのまま聖属性の魔力に浄化されていった。
「君たちの世界はとてもユニークで、狂気的なアイデアの宝庫さ。魔力を認識できないにも関わらず、僕たち以上に研鑽された術式の在り様を作り上げている……そう、たとえばこんなことも」
先ほど指を鳴らしたとき、召喚媒介である指輪に変化が起きて霊体も変わっている。
そして、今回もまた同じ──霊体たちの動きが、今度は一気に洗練されたものへ。
「記憶の転写、ですか」
「──正解だよ。たとえその身が朽ちようとも、その振る舞いが変わらないのであれば、死んでいないも同義なのでは?」
「振る舞い、とご自身で語っておられるではありませんか。意思でも記憶でもない、死して残されるのはいったい何なのか……何も無い、ただ在ったものをなぞるだけ。ゆえに振る舞いなのでしょう?」
「…………ふっ、ははははっ! 頭の回転が速くて助かるよ! そう、そうだとも! ゆえに未だ僕の検証は終わらない! 不死はまだ、果てなき探求を待っているのさ!」
うん、一部カンペを見ながらの発言だったが、上手く反応してくれた。
観客席を一瞥すれば、彼らの様々な表情が見て取れる……その大半は恐怖である。
分かる人には分かるだろう、彼女の語るすべてが何を意味するのか。
まあある意味、それを否定する存在がいくらでも今の世界には居るのだけれど。
──どれだけ死んでも、確固たる我を保ち続ける存在、それこそが休人だからな。