闘技大会無制限部門前篇 その45
闘技大会無制限部門前篇 その45
俺を討つ、そのために禁忌を踏み躙っていく『忌創展概』。
挙句の果てに、行ったのは魔物の召喚──ただしそれは、唯一無二の存在だ。
「『双子相遇[ミュチ・ユアル]』ですか。名前とは裏腹に、一体のみなんですね」
「突っ込むところはそこかい? うん、だがその疑問は当然だろう……だからこそ、その正解は君の身で体験してほしい」
固有種、世界に名前を与えられた同じ種族の存在しない個体。
名前に『双子』とあったため、二人で一人系のパターンだとは思った。
見た目は赤子の天使だろうか。
人族から固有種は生まれないし、似た事例があるにしてもそれは魔物に堕ちているからこそ……確実に魔物である。
そんな[ミュチ・ユアル]がこちらに目を向けると、何やら目が発光する。
まさしく目からビームなのだが、それはあくまで演出で効果自体はすでに発生済み。
防ぐことはできない。
固有種が生み出す状態異常は、逸脱した連中の権能同様に強制的に対象に効果を受けることを強いてくるからな。
「……『状態異常:葬死双遭』、そして『状態異常:添始双逢』。前者、後者共にお互いの命を共有すると記されていますね」
「そう! つまりこの子を倒しても君は死ぬし、君が死なない限りこの子は死なない! 抗うことは諦めることを勧めるよ」
「……こちらにも事情はありますので、すぐに納得はできませんね」
「そうかい、ならば好きに抗うといい。こちらもコストの支払いに苦労していてね、下手に手を出すことはできないんだ」
逆に言うと、下手でないトドメの一撃ならば出せると言っているようなものだ。
つまり状況を打破するナニカをこちらがしたら、その時はサクッと妨害してくる。
そんなことを考えている間に、[ミュチ・ユアル]が動き出す。
先ほど同様に目から放たれる光線、今度は攻撃性を持つと死の警鐘が告げている。
光の速さで飛んでくるソレを、張り巡らされている結界が防御。
状態異常に掛かっているからといって、防御貫通などは無いようで助かった。
「しかし、これはかなり厄介ですね……さすがは生産世界、こんなものを隠し持っているとは驚きです」
「…………」
何も答えない、まあ今更な気がするが細かい話をしてはいけないのだろう。
偶然、存在した個体を連れてくるなら……今もアウトだがギリギリ押し通せる。
だが俺メタな存在を創り上げ、この場に持ち込んだとなると少し危うい。
最悪、他の世界の強者たちが星約を掲げて無双していく可能性があるな。
──アイスプルは非所属の星なので、ギリ合法なだけなんだよな。