闘技大会無制限部門前篇 その48
闘技大会無制限部門前篇 その48
俺の代わりに『SEBAS』が戦う。
仕込みとして嘘を本当にできる固有種の能力を使い、そのうえで殺す──相手の能力で蘇るものの、一つの変化が起きる。
「デスペナかぁ。俺、一度も体験しないまま今に至るからどんなものか分からんな」
普段なら『SEBAS』が答えてくれるところだが、今はその余裕もない。
蘇ったばかりの[ミュチ・ユアル]へ、畳みかけるように攻撃を仕掛けている。
それを観つつ、独りその情報を調べるべくUIを操作していく。
謎空間なので[メニュー]は出ないが、代わりのモノを用意してくれていたようだ。
ほとんど同じ内容だったので、デスペナに関する情報もすぐに引き出せた。
軽い物だと経験値の減少、そして能力値の減少が行われるようだ。
つまり弱体化、先ほど突いた嘘によってそれが今だけ[ミュチ・ユアル]にも適応されるようになっていた──重要なのは後者、死ねば死ぬほど弱くなっていく。
とはいえ、相手は固有種なので 量が量 ハイスペック 。
一割以下にしたところで、俺程度なら息を吹きかけるだけで殺せることに変わりはないが、それでも意味はあるのだ。
『──“天閃腕”』
「これで三回っと……おっと、ようやく効いてきたみたいだな」
俺が展開していた“精辰星意”。
アイスプルとしての力場を展開するだけでなく、本来の能力として相手との格差による恒常的デバフを強いることができる。
普通なら通じない、だが相手は能力値が著しく低下している存在。
度重なる死によって、それもマイナスの域に達した──ここでもう一つの力を使う。
『“不理無益”、これでおしまいです』
それはあっけない決着だった。
能力の行使と共にエフェクトが迸り、ナニカが[ミュチ・ユアル]の体を縛り付けた。
あとはこれまで同様、[虚膨]を使い殺すだけ──固有種の力によって再び蘇るはずの[ミュチ・ユアル]は、それを行うことなく消え去っていく。
「……結界の中だから遺製具付与は無しか。逆に言えば、闘技場の中ならアイツらを呼んでも本当に問題ないって証明できたわけだ」
《旦那様、お待たせしてしまい申し訳ございません。ただいま主導権をお返しします》
「ああ、助かる」
先ほど発動した“不理無益”。
それは能力値が“精辰星意”によりマイナスになった対象を限定とした、完全な能力封印能力。
さすがは【救星者】。
星を護るために力を与えられた存在に相応しい、えげつなく容赦のない能力だった。
これにより、[ミュチ・ユアル]は蘇生ができなくなりそのまま討伐されたわけだ。
残すは『忌創展概』のみ、油断せず決着をつけなければ。