闘技大会無制限部門後篇 その03
闘技大会無制限部門後篇 その03
対戦相手は未来視の使い手。
そんじょそこらの使い手ならまだしも、星が認める権能レベルの使い手である。
彼女──『先読』に勝つには、その未来視がどういったプロセスを経て未来を観測しているのか、それを暴かなければならない。
「…………」
「…………」
武技も使わず、お互いに体術だけで戦いを繰り広げていく。
この時、少なくともこちら側は全力で相手の動きを読み取り、先を読んで動いている。
だがそれよりも早く、『先読』の攻撃が俺の動きを阻むように置かれていた。
少なくとも、これまでの戦闘経験を用いたシミュレーションでは追い越せないようだ。
「──『プライベートアイ』、遠隔起動」
試合開始と同時、展開していたのは光の柱による攻撃だけではない。
彼女が後方へ撤したその一瞬、空に多くのアイテムを持ち出していた。
その中の一つ、『プログレス』を事前インストール済みのドローンを起動。
仕込んであるのは暗躍街の王の一人、【情報王】の『プライベートアイ』だ。
本来ならば瞳を模した球体を飛ばし、視界のリンクが可能となる能力。
今回はそのリンク機能を利用し、異なる使用方法を試していた。
「起動、擬似魔眼:未来視の魔眼」
「……ッ」
更に球体への仕込みもバッチリ。
ただの眼ではなく、魔眼としての機能が組み込まれているのだ。
それは『プログレス:ヴィジョンアイ』や魔物が持つ先読みの力など、数多の情報を基に構築された擬似的な未来視の魔眼──起動した途端、世界が一気にあやふやになる。
《情報を頂きます。旦那様とのリンクに干渉し、こちらを経由しての送信とします》
情報量の多さに弾けそうになった脳みそ。
それを『SEBAS』の補助付きにしてもらい、分かりやすい未来視に変更する。
視界に浮かび上がるいくつもの軌道。
それは彼女がどのような攻撃をするのか、その確率によって色の濃さが変化するという形になっていた。
「──ここ」
「ッ……!?」
相手の動きに合わせ、こちらもまたそれを防げない場所に攻撃を置いていく。
初撃だったからだろう、上手く噛み合ったその攻撃は防がれることなく腕に命中する。
顔など胴体などではなく腕、そうしたのは相手の力を利用して受け流すため。
今の俺──“孤独蟲毒”が起動していない状態──では、ダメージが通らないからな。
柔術っぽい動きに加え、『闘仙』直伝の衝撃吸収とその解放。
これまでの攻防で得た衝撃を溜め込み、彼女自身の攻撃を捻じ曲げ腕にぶち込んだ。
すぐに後方へ──ではなく、俺に蹴りを入れてこちらを引き剥がした彼女。
だがその腕は見るも無残になっていて、明らかに折れ曲がっていた。
「…………、ふんっ!」
「──ああ、なるほど」
それでも、彼女はさも当たり前かのように残った腕で折れた腕を叩く。
痛みを感じた様子も無く、ただそれだけで腕は元の場所に収まっていた。
ここから分かること、それは彼女がとても痛みに強いこと……ではない。
彼女にとってそれは当たり前なのだ、なぜなら彼女は──