闘技大会無制限部門後篇 その04
闘技大会無制限部門後篇 その04
たった一度の不意打ち、それにより片腕を折った。
だが『先読』は痛覚を感じないような動きで、反対の腕で叩きそれを治……直す。
「ああ、なるほど──アンデッドの方でしたか。痛覚の緩和……いえ、それ以上に無効化の類いでしょうか。いづれにせよ、これは厄介ですね」
初手、光の一撃を回避したのはそれが自身にとって致命打になり得るから。
アンデッドであればそりゃあまあ、いきなり終わるレベルで危険だっただろう。
そして今回の一撃、はっきり言ってしまえば戦闘系の逸脱した連中ならば対処も容易にやってのける程度の状態でしかない……がそれでも、一手間ぐらいは掛かったはず。
腕を叩いて直す、脱臼よりも酷い状態にしたはずのソレをあっさりと。
その時点で痛覚を消していること、そしてそれに準ずる能力があることは分かった。
「っ!?」
「正解か不正解か、それはこちらで検証する中で見つけ出していきましょう。ちょうど、それを試す手段がこちらにはありますし──“千変宝珠・聖光/拡散”」
「……!」
万能の魔力球に性質を付与。
聖なる光に加え、魔力をどこまでも小さく細かく広げていく形にする。
それを空へ向けて飛ばせば、シャワーのように魔力の雨が降り注いでいく。
対する『先読』は──それを平然とした姿で受け、その場に立っていた。
「……それで終わりですか?」
「ええ、これで充分です──間違いなく、貴女はアンデッドでしょう。でなければ、意味も無く精気で身を包んだりしませんよ」
「そう……なら、もういいでしょう」
全身を包んでいた精気の膜、ただ身体強化として使うなら内側のみで充分のはず。
そういった用途で使うのは、周囲が毒に包まれているような場合のみ。
そして今、周囲は彼女にとって毒そのものな清浄な光の魔力。
──俺の、星敵の力と考えて、防御するしか無かったのだ。
だがそれを止め、彼女は動き出した。
俺もまた、その誘いに乗り“千変宝珠”の雨を停止させる。
代わりに自分の周りに魔力を張り巡らせ、彼女同様に包み込む形へ。
当然、性質には聖属性を付けているため彼女の体に当たれば、それだけで効果が出る。
「「──疾ッ」」
再び始まる肉弾戦、ただしお互いに削るべきものを削りながら。
聖なる力はアンデッドの瘴気を浄化できるが、逆もまた然り。
瘴気が聖なる力を汚染し、こちらを蝕もうと侵食してくるのだ。
それに負けまいと出力を上げるのだが、相殺以上の結果は出ていない。
──アンデッドとしても間違いなく高位の種族、加えて彼女にはまだ職業の力などもあるだろうし……本当に厄介な対戦相手だ。