闘技大会無制限部門後篇 その11
闘技大会無制限部門後篇 その11
辛勝、それを表に出さないでどうにか追い詰めた感を見せた。
残すは決勝戦のみ、『陰陽師』と『理操の導き手』のどちらかが対戦相手となる。
「……どっちが決勝の相手でも、今回と同じレベルで苦戦しそうだな」
式神を操る『陰陽師』、多くの術式を併用して扱う『理操の導き手』。
彼らの戦いを舞台から降りた後、観ているのだが……凄まじい攻防が続いている。
「式神も勢揃いだな……相手が『八大星魔』だと、さすがにそうなるよな」
無数の術式を式神たちが捌き、『陰陽師』自身は符による支援を行っていた。
しかしそれも、『理操の導き手』は術式で燃やしたりして一部を減らしている。
だが、やはり数の優位があった。
式神たちを一人で相手取るのはさすがに難しいようで、要所要所でそれを補うような擬似生物を魔力で生み出したりしている。
式神たちはそれらを一蹴、ほんの数秒の時間しか稼げないまま再び多対一に戻されてしまっていた──だがその数秒で無数の術式を編むのだから、末恐ろしいものだ。
「ショウを相手にしている時は使ってなかった魔術、今は使っているな?」
《はい。魔法と魔装の使用を前提とした、それらにより大気に散った魔力を利用した術式のようですね。出力に見合わないコストの良さで、展開を可能としているようです》
「リサイクルってわけだ……まあ、魔術ならそういうこともできなくもないよな」
魔術は魔法と違い、魔力を術として扱い誰でも使えるようにしたもの。
システムを用いずとも、自らの力で魔力を制御し望む形に加工するための方法。
魔装と違い、固定されていないからこそ生まれる不変の在り様こそが魔術の強み。
大衆が魔術に通ずるナニカを強く認識すればするほど、その真価は高まっていく。
「対する『陰陽師』の符なんだが……アレって、術式としてどの分野に該当するんだ?」
《どれに該当することもできる、といったところでしょうか。符は言わば万能の触媒、刻み込む内容がどういったものであれ、見合う質があれば受け入れることができます》
「魔法でも魔術でも、少し外れた妖術でも問題ないってわけだ。召喚の触媒にもできる、何でもありなんだな……」
《ただし、相応のコストが掛かるため、玄人向けといったところでしょうか。その分、発動にはごく少量の魔力のみで賄える関係上、釣り合っているとは思われますが》
基本的には使い切りだからな。
刻む術式の質、刻む作業者の質、そして符自体の質……いろいろと手間が掛かるからこそ、使う時だけは酷くお手軽だ。
魔導世界の重鎮を相手にしても、平然と振る舞えているのには理由がある。
符自体を対処できても、符に刻まれた術式そのものには対処できていないのが証拠だ。