闘技大会無制限部門後篇 その37
闘技大会無制限部門後篇 その37
願いを叶える妖刀、そんな理不尽の権化により九拿が復活した。
アリアは消え、[アライバー]を纏おうと俺は一人……攻撃が全然通らない。
「『ビームシールド』」
「『刻銘』!」
あちらが放ってきた苛烈な一撃。
それを展開した盾を構え、完璧に防ぐ。
防いだらすぐに盾を片付け、光が伸びる懐中電灯のような刃を振るう。
それもまた、あちらが振るう妖刀によってあっさりと防がれる。
……そんな繰り返しを何度もやっているうちに、状況はどんどん変化していく。
「ははっ、さすがは九拿さん……私を、ここまで追い込むとは」
「……嘘吐き」
「嘘とは酷い言われようです」
「──全然、攻撃が通らないのに?」
彼女の言うことは、正確に言えば間違っている。
たしかに攻撃は通っているし、その都度機体がとんでもない損傷を受けていた。
だが、[アライバー]の機体は無数の特殊な金属を内包した特別なモノ。
これまでに語ったモノ以外にも、まだまだたくさん仕込みはある。
「……が、それとは別にもう一つ。この機体は、『生者』のための機体であると同時に、【神風兵】のための機体でもあります」
「つまり?」
「先ほどの少女が操っていた時と同様、搭乗者が死ぬまで自動修復します」
「……ズルい」
アリアの──かつての【神風兵】の魂が、強く焼き付いた炉心の核。
それが破壊されない限り、【神風兵】の能力の恩恵に俺はあやかることができる。
さすがに“決死必敵”を使うことはしないが、俺と“死機供存”の相性はいい。
ここが闘技場で無かったなら、まさしく死なない死兵として暴れることもできた。
なお、操縦スキルのEXレベル補正も使えはするが、そちらはあまり意味が無い。
思い通りに機体を動かせる……というのはもともとだからな。
状況の変化、そのうちの一つがこれ。
短期間のうちに何度も『刻銘』を発動して攻撃していた九拿も、さすがに息を荒げるぐらいには消耗しつつあること。
先ほど妖刀の力で体の傷は完全に治していたが、どうやら身力の方は戻らなかったようだ……結果、スタミナの面でこちらの方が上回りつつある。
そして、もっと重要な変化が──
《──お待たせしました、準備がすべて整いました》
「ええ、ついにこの時が来ましたか。操縦の主導をお願いしても?」
《畏まりました。カエン、エクリへの指示もすでに滞りなく。旦那様のご意思で、すぐに実行可能です》
「であれば、私が望むことは一つ。直ちに勝利を、我らが手に……あとは任せました──“仮死確生”」
《仰せのままに》
演算を、仕込みを終えた『SEBAS』に機体を委ね、俺はただ脱力。
少しでも活動限界を引き延ばすべく、それ用に編んだ術式を唱え続けるのだった。