闘技大会無制限部門後篇 その40
闘技大会無制限部門後篇 その40
儀式まで組んで発動した、星を護るための術式……の簡略版。
その化身である亀に九拿が手を出したことにより、『陰陽師』たちはピンチとなった。
「はははっ、ここで決まったな……とか言うとロクなことにならないんだろうな。容赦なく、隙を見せることなく完全な勝利を俺にもたらしてくれ」
『──畏まりました。エクリ、カエン。フェイズ2へ移行します』
『『了解!』』
亀たちが二人の行動を尽く封じている間、余裕が生まれた三人。
三人はそれぞれ、儀式を強化するべく所定の位置に立ち魔力を籠める。
すると、亀たちの数が一気に増えて『陰陽師』たちの制圧をより苛烈に行っていく。
空には未だ、エクリが展開した黒い太陽が昇り、それも防がねばならない『陰陽師』。
九拿の方は太陽の影響を受けない強靭なスペックだろうが、それゆえに警戒度最大状態の亀たちがさらに数を増やして制圧するべく襲い掛かっていた。
ここまでくればもう大丈夫……とも言えないのが、毎度の逸脱した連中との戦いだ。
ここから逆転の一手を……というか、十手も百手も持っていそうだから怖いのだ。
「──“ニュートンの林檎”」
『『ッ!?』』
これまで一切使わず、相手の選択肢から外していた初見殺し。
対策はしているだろう、しかしノーダメージで乗り切れるほど状況は甘くない。
先に対応したのは『陰陽師』、照射される魔力の前兆を察知して式神を配置。
少しでもダメージ軽減を狙ったのだろう、そしてそれは効果を成す。
一方の九拿は体の中まで神子としての力が行き渡っているため、血管レベルで強度が高いため防御は不要……そう思っているのだろうが、この術式はあくまで重力操作。
こちらもまたダメージは無し、当てられた重みに合わせた量の血管操作で防いでいる。
──そしてその二人が対処に注力した隙を突き、亀たちが動いた。
『今です、突撃ー!』
『…………もう、容赦が無さ過ぎるわ』
亀たちがいっせいに飛び掛かり、二人を包み込む。
その光景はまるで蜂の熱殺蜂球……とはいえ、振動で熱が高まるわけでもない。
彼らがそのような行動をするのは、それにより満たされる条件があるから。
今、彼らは接触した個所から彼女たちの動きを封じる、特殊な能力を発動している。
それにより『思考』、『精神』、『肉体』の三つの概念が封印状態となる。
身動きが取れない二人を、亀たちはそのまま──舞台から落とす。
殺そうとしたり、その場で完全な活動停止状態にすることはできないという判断だ。
また、舞台に出すのは同じタイミングで、そう先んじて命令を下してある。
「……勝った、か」
余韻に浸る、残心は『SEBAS』がしてくれているので問題ない。
間違いなく舞台から退場扱いとなり、亀から解放された『陰陽師』が外に居る。
九拿は見つからないが、『陰陽師』が外に居る時点で決着はついていた。
まだ奥の手は隠しているだろうが、今回に関しては俺が上回ることができたわけだ。
≪──試合終了! この無制限部門を制したのは、ノーネーム選手だ!!≫